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半世紀も着工せず「東九州新幹線」独自ルートの夢 建設の機運を高めるべく大分と宮崎が動き出す

東洋経済オンライン / 2025年1月18日 17時0分

大分県、宮崎県ともに新ルートを提案し、東九州新幹線建設の機運を高めるべく奮闘中である(写真:marumaru/PIXTA)

各地で計画・進行している鉄道に関する「あの計画」はいったいどうなっているのか、そしてそれらの計画が地域社会にもたらすものとは?

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鐵坊主さんの著書『鉄道路線に翻弄される地域社会 - 「あの計画」はどうなったのか?』から一部抜粋、編集してお届けします。

福岡から大分、宮崎を経由して鹿児島へと至る東九州新幹線は、1973年11月15日、「建設を開始すべき新幹線鉄道の路線を定める基本計画」に追加され、50年以上の月日が流れているが、いまだに建設への具体的な動きはない。

【図で見る】東九州新幹線「久大本線ルート」と「日豊本線ルート」

そのような状況のなか、大分県と宮崎県は独自のルートを提案し、建設の機運を高めるべく動き始めた。この両県が掲げる新ルートについて考察しよう。

地域により熱量に大きな差

東九州新幹線の計画ルートは小倉駅で分岐し、日豊本線に沿って鹿児島中央駅へと至るもので、中津、大分、佐伯、延岡、宮崎、都城といった経由地が想定されている。

現在の整備新幹線建設においては、沿線自治体による建設費用の負担、JRが求めた場合、並行在来線が分離されるが、すでに九州新幹線があり、域内における時短効果が限定的な福岡県、鹿児島県には東九州新幹線建設のメリットが見い出しづらい。

大分県や宮崎県が独自ルートの提案を始めたのは、この現状を鑑みて、より実現可能な方策を求めての動きといってよいだろう。

日豊本線ルートよりも現実的?

このルートは九州新幹線の新鳥栖駅で分岐し、久大本線に沿って大分へ向かうものであり、途中駅など詳細なルートは決まっていないが、沿線最大の都市である日田や、知名度の高い温泉地である由布院などを経由するのが自然だろう。

建設事業費は、日豊本線ルート案が8195億円、久大本線案は山岳部が多く、トンネル区間が多いため8339億円とやや高額になり、費用便益比においても日豊線案が1.27倍、久大線案が1.23倍と、日豊本線ルートがやや優勢ではあるが、2つのルートにそこまで大きな差はない。

所要時間は博多駅までは日豊本線ルートで47分、久大本線ルートで46分と、ほとんど変わらないが、新大阪駅へは日豊本線ルートでは現行よりも50分ほど早い約3時間半、久大本線ルートでは4時間以上と、ここでは30分以上の差が開く。

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