「歯石取りは痛い」と疑わない人が知らない真実 最後に「すっぱいもの」を食べる人は要注意
東洋経済オンライン / 2025年1月18日 16時0分
むし歯にならないためには甘いものにだけ気をつければいい、と思っていませんか。むし歯・歯周病予防をはじめとする日本人の歯と口のケアは、世界標準からかなり遅れていると歯科医師の前田一義さんはいいます。前田さんの著書『歯を磨いても むし歯は防げない』から、むし歯にならないための口腔ケアを一部引用・再編集してご紹介します。
食事の最後に「すっぱいもの」は要注意
一般に「甘いものを食べる人ほど、むし歯になりやすい」といわれます。そこから「甘いものを食べたあとは、しっかり歯を磨きましょう」という話にもなります。
【画像】pHの値が小さい酸性のものを食べすぎたり飲みすぎたりすると、酸で歯が溶けてしまうことがある
むし歯の原因が甘いものと考えられるのは、口の中の糖と炭水化物がむし歯菌のエサになるからです。そのため甘いものに気をつける人は多いですが、一方で酸っぱいものになると無頓着な人が少なくありません。
お酢や柑橘類など、すっぱいものは体にいいというイメージもあります。とはいえ、歯の健康という点では、すっぱいものも要注意です。
すっぱいものはpHの値が小さい酸性です。むし歯菌が出す酸に限らず、酸には歯の表面を覆うエナメル質を溶かす働きがあります。すっぱいものを食べすぎたり飲みすぎたりすると、酸で歯が溶けてしまうことがあるのです。
これを「酸蝕症(さんしょくしょう)」といいます。むし歯がむし歯菌が出す酸で歯が溶ける病気であるのに対し、酸蝕症は食べ物や飲み物の酸で歯が溶ける病気です。
たとえば、食べ物を吐いたり逆流性食道炎になったりすると、胃液が逆流して歯が溶けることがあります。これは胃酸が強い酸性の酸だからです。
すっぱい食べ物の代表格にレモンがありますが、レモンのpHは2.3です。胃酸は、それより強いpH1.0〜1.5です。胃酸が強い酸性だから起こる現象で、同じことが食べ物や飲み物で起こることもあるのです。
私の患者さんにも「健康にいいから」とお酢を飲み続け、形が変わるほど歯が溶けてしまった人がいました。セラミックをかぶせる治療をしましたが、酢にはそれぐらい歯を溶かす力があるのです。
酸蝕症から歯を守る方法
強い酸性の食べ物や飲み物は、意外にたくさんあります。ドレッシング、果物、柑橘系のジュースや飴などです。これらを摂るとき、とくに注意したいのが最後に何で終えるかです。
最後に食べたり飲んだりしたものが酸性だと、口の中はしばらく酸性が続きます。歯が溶けやすい状態で、そのまま歯磨きすると歯ブラシによる摩擦で歯を傷つけやすくなります。
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