「お酒は組織の接着剤、そんな文化は衰退している」 グローバルダイニング社長に聞く飲食業の商機
東洋経済オンライン / 2025年1月18日 8時0分
和食居酒屋「権八」やイタリアン「カフェ ラ・ボエム」など、国内44店舗を展開するグローバルダイニング。
同社の和食居酒屋「権八」はかつて、西麻布店が映画『キル・ビル』のシーンのモデルとなった。同店は小泉純一郎元首相とブッシュ元大統領の会談で利用されたこともある。また、コロナ禍の営業時間の短縮要請に対して「従う義務はない」と営業を続けるなど、飲食業界ではよく知られた企業だ。
最近はインバウンドに人気の同社だが、それだけに頼らない成長戦略や、急速に変化する飲酒スタイルへどう対応していくのか。長谷川耕造社長に話を聞いた。
――インバウンドの追い風もあり、売上高は成長を続けています。
2023年も2024年も、インバウンドの影響は長く続いてきた。全体の売り上げはプラスだが、厳しい店舗もあるし、自分たちの能力や品質が上がったことがすべてではないと思っている。
中期的にインバウンドがどれだけ来てくれるか、影響がいつまで続くかは予測できないが、一定の期待はできるだろう。
一方で、2010年代からコツコツ取り組んできた、品質の向上や人材育成の効果もあり、インバウンドが少ない地域でも売り上げを伸ばせている。
接着剤としてのお酒の文化は衰退?
――コロナ禍を経て、飲酒スタイルも大きく変わりました。
「一杯目はビール」の需要はまだまだある。当社では酒類の売り上げの3分の1がいまだにビールだ。人気の背景には丁寧なメンテナンスなど、飲食店の努力もある。日本のビールが世界でいちばんおいしいのではないか。
飲食店はエンタメビジネスで、人を呼び寄せて楽しんでもらうことが大事。ビールの品質にこだわるのもその一つだ。
ただし、お酒の役割は以前とは変わってきている。昔は仕事が終わったら毎晩のように飲みに行けるような値段で居酒屋が営業していたし、お酒は「組織の接着剤」だった。
コロナ禍でリモートワークが増えた影響もあった。人との出会いが減り、お酒を飲む機会も減っている。健康志向が高まったこともあるだろう。接着剤としてのお酒の文化は衰退している。
お酒を飲むことが中心の業態に、昔のような勢いはない。ホステスがいる店へはしごするような2軒目、3軒目の需要も減っているだろう。飲食店でお酒を大量に売ろうという考えは間違っているのではないか。
当社の和食居酒屋「権八」などもお酒を痛飲する場所ではない。手頃な料理が目当てで、お酒がなくても来るお客さんも多い。今後はお酒を提供しない商売もしっかりやっていく必要があると思っている。
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