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「中居氏騒動」フジ社員に伝えたい"企業防衛"論理 「もし会社が消滅するかもしれない」事案起きたら

東洋経済オンライン / 2025年1月18日 17時30分

フジの大株主であるアメリカの投資ファンド「ダルトン・インベストメンツ」が要求したのは、おそらくこのような展開で、信頼が回復されることを通じて株価を戻したいというのがその意図でしょう。

第三者の調査の結果たとえ不祥事があったとしても、その後フジテレビが浄化されればいいのですが、正月に爆笑問題が言及したようにフジテレビが潰れてしまったら誰も得をしません。フジテレビは放送法上、免許剥奪などに話が向かう場合がありうるので危機管理に注意が必要です。

ここまでのところ、港社長の会見は歯切れが悪い印象があります。フジテレビとは離れた形で日本型不祥事について説明させてください。

この点は株主の投資ファンドが勘違いをしている可能性があるのですが、アメリカの企業不祥事と違って、日本の重大不祥事ではトップが関わっている背景がアメリカとは違います。

アメリカで会社を揺るがすような不祥事を起こすのは、権力者が私欲のために行うケースが大半です。事件には何らかの中心人物がいて、それを告発すれば事件は解決に向かいます。

日本企業の不祥事の隠し方

一方で日本の不祥事には隠蔽型のケースが多々あります。もちろん大元をたどるとどこかに悪い人がいるのですが、それが外部に発覚して組織が傾くのを恐れて、トップや役員が共謀してそれを代々引き継いで隠すのです。

オリンパスで発覚した「飛ばし」のスキャンダルはまさにこのような事例で、巨額の損失を隠蔽するための取引を会長主導で行ってきました。外国人社長がそれに気づいたため、会社は「その社長には資質がなかった」という言いがかりのような理由を付けて社長を解任します。その騒ぎが隠しきれなくなって事件が発覚しました。

結局、会長、副社長、監査役だった3人が逮捕され有罪になるのですが、原因となった巨額損失はバブル崩壊の1990年代に起きていて、それを20年近くにわたって引き継ぎながら組織的に隠してきたのです。

なぜ隠してきたのかというと、これは実に日本的なのですが、このような巨額の粉飾決算が発覚すると上場廃止になり、社員が路頭に迷うからです。そうした事態を防ぐ役割として偉い人が不祥事を隠すのです。

もうひとつ興味深いことに、このような事例が発覚した場合になぜか当局はルールどおりには処分をしないのが日本のやり方です。オリンパスもそうですし、東芝も「もし事件が明るみになったら上場廃止になる」と思って隠蔽を続けてきたのですが、東証はルールを曲げて企業を守りました。

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