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欧州にバチカン市国より「小さな国」設立の可能性 アルバニア首相が「新国」設立を国連総会で発表

東洋経済オンライン / 2025年1月19日 14時0分

例えば、アルバニアの地方都市ベラトでは人々が集う大広場に、イスラム教のモスクとキリスト教系の東方正教会の大聖堂が並んで建っている。

モスクを案内してくれたムスリムの男性は、「僕はこの広場のハーモニーが好きなんだよ」と語ってくれた。異なる宗教の施設が、場所を隔てられることなく共存している。この宗教における寛容さが、アルバニアという国の大きな魅力なのだ。

でもなぜ、この国でわざわざ一宗教だけを優遇するような、新国家設立計画が進んでいるのだろうか。

いざ「ベクタシワールドセンター」へ

ベクタシ教団の本拠地である「ベクタシワールドセンター」は、アルバニアの首都ティラナの中心部からおよそ3km、ダジティ山のふもとにある。ほかのイスラム教の宗派と異なり、ベクタシ教団はモスクを持たない。そのためここは「センター」と名づけられている。

壁で囲まれた敷地の中には、礼拝のためのビルディングや、テッケと呼ばれる社会奉仕活動のための集会所、指導者の墓廟などが建てられている。

その奥には、敷地の3分の2を占める広大な庭園が広がる。この敷地がそのまま新たな宗教国家になると発表されている。

その面積はわずか0.11平方kmで、バチカン市国の4分の1程度。国家ができたとしても、700万人もの信者がここに移り住めるとは想像しにくい。

雄大なダジティ山に近づくにつれ、だんだん瀟洒なイタリアンレストランの数が減っていく。どうやらワールドセンターは家族連れが住む、団地のようなエリアに建てられているらしい。

ようやく見えてきた大きな門をくぐると、モザイクタイルで綺麗に舗装された広大な敷地が目の前に現れた。今まで歩いてきた混沌とした道とのギャップに驚いてしまう。

コーランを読み上げる声が響く

意外なことに、センター内はしんとしていて、男性が朗々とコーランを読み上げている声だけがどこかから響いている。警備員の案内通り進んでいくと、突如目の前に巨大な大理石造りの緑色の宮殿が現れた。

ガラス張りの扉を覗くと、広間に信者のためのいすがずらっと並んでいるのが見えた。実はこれがベクタシ教団の特徴の1つである。

アルバニア市民の大多数を占めるイスラム教スンニ派では、男性と女性は別々の入り口からモスクに入り、別々に祈りを捧げることになっている。しかしベクタシ教団は、男女は同じ場所で祈ることができる。

スンニ派との違いはそれだけではない。ベクタシ教団では、飲酒や水タバコ以外の喫煙が許されており、女性もヒジャブと呼ばれるスカーフで肌を隠さなくてもよいとされている。また、ベクタシ信者の子どもは必ずしもベクタシ教団に入信する必要はなく、自由に宗教を選ぶことができる。

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