高金利でも米国経済の成長が続くと予想するワケ 2025年パウエルFRBの利下げは年何回あるのか
東洋経済オンライン / 2025年1月19日 15時0分
1月10日に発表されたアメリカ12月の雇用統計は、非農業部門の雇用者数が前月比+25.6万人と事前予想を上回り、失業率も4.1%と前月から改善した。これをうけて長期金利は4.7%台まで上昇した。これでFRB(連邦準備制度理事会)の次回利下げが先送りされるとの見方が強まり、同国株市場は下落した。
アメリカは3月利下げ、年間では2回で予想不変のワケ
クリスマス商戦がある冬季の雇用統計はブレが大きいことで知られており、筆者は12月のような雇用の大幅な伸びは持続しない、とみている。労働市場が再び過熱状態に近づき、雇用が増え始めたとの思惑はやや行きすぎだろう。
今後、3月18~19日のFOMC(連邦公開市場委員会)までに、雇用統計は2回発表される。その中で、当局は労働市場の趨勢を見定める余地がある。今回のようにサプライズをもたらすような雇用の大幅な伸びは続かず、総じて労働市場の落ち着きが示されている中で、筆者は「FRBは3月会合での利下げを行う」と現時点で予想している。
筆者は昨年11月に「2025年、FRBは年3~4回の利下げを予想する」という向きが多かった中で、「利下げは年2回にとどまる」と見通しを変えた。
この理由は、昨年11月初旬に共和党が大統領選挙だけでなく両議会も制して「トランプ2.0の世界」となることが確実になったためだ。広範囲な関税引き上げ政策が実現するので、これが限界的にインフレを押し上げ、FRBによる利下げ継続は難しくなるだろうと考えた。
昨年末時点では、筆者のこの見立ては「ややタカ派」に属していた。その後、ドナルド・トランプ次期大統領の姿勢が明確になり、経済指標の上振れが散見されると、ジェローム・パウエルFRB議長らが利下げを慎重に判断する考えを示した。そして、現時点では「2025年の利下げ回数はせいぜい1回」、との見方がコンセンサスになりつつある。見通しを変えていない筆者の予想は、今は逆に「ややハト派」に位置付けられるが、それは、昨年末からの金融市場の期待の揺れ動きが大きいのだと考えている。
実際、2024年末までのアメリカ経済はかなり堅調で、2024年の経済成長率は年3%近くに上振れたと試算される。2024年半ばまで、FRBは5.25~5.5%の政策金利を1年間維持して引き締めており、計3回の利下げでこれを少しずつ緩めたわけだが、それでも経済の高成長が実現したことになる。
なぜアメリカでは高金利と経済成長が共存できるのか
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