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高金利でも米国経済の成長が続くと予想するワケ 2025年パウエルFRBの利下げは年何回あるのか

東洋経済オンライン / 2025年1月19日 15時0分

現在、市場の一部には、アメリカの長期金利が再び5%まで上昇する可能性が出ているが、筆者は5%超の金利上昇は続かないと予想している。それでも、同国では高金利と経済成長の共存が起きているということだ。

筆者自身は、2023年半ばから一貫して同国経済の先行きには楽観的である。だが、4%以上の政策金利と潜在成長率を超える成長が共存するとまでは想定できず、高金利が経済成長の減速をもたらすと予想していた。だが実際には政策金利が4.5%を超えていた中で、3%の経済成長が続いたのだから、同国経済の巡航速度(潜在成長率、労働生産性)が高まっている可能性は否定できないだろう。

また、趨勢的な労働生産性が高まっているとの説に対して、筆者はやや懐疑的であった。だが、昨年末にはこれが起きているという数的な根拠が増えている。先述の次期トランプ政権による関税政策に加えて、労働生産性が高まっている可能性を考慮したことも、2025年にFRBによる利下げは多くても2回程度にとどまるとした1つの理由である。

同国では、起業件数が2020年のコロナ禍直後に大きく増えた。これは、コロナ禍による生活様式や働き方の変化によって、新たなビジネスが増えたためである。この動きが1年は続くと想定していたが、実際には4年経過した2024年も起業件数はずっと高止まったままで、同年末には再び増える兆しがみられている。コロナ禍の経済ショックを経て、労働者を含めた経済資源が成長産業にスムーズにシフトが続き、経済全体の生産性を高めていることを示している。

また、サンフランシスコ連銀のエコノミストが作成したデータによって、同国の労働生産性を分析することができる。これを踏まえると、労働者の経験年数の増加やスキル向上などの要因が、2023年から労働生産性をさらに高める方向で作用しているとみられる。

「政策金利2%台まで低下」の可能性は極めて低い

1990年代後半の、いわゆるIT革命と呼ばれた時期には、新たなビジネスの盛り上がりとともに、情報通信技術の利用の広がりから、同国の労働生産性は3%前後まで高まった。

2000年代半ばから労働生産性は低下したので「趨勢的な変化」ではなかったが、「産業構造が変わり、技術革新が起きる時期に、5年前後連続的に労働生産性が高まる可能性は相応にある」ということだ。

2023年以降の同国経済の予想外の成長には、移民が大きく増えたことも影響していたので、現時点で判断は難しい。ただ、トランプ2.0のもと、2025年もアメリカでは高金利と経済成長の併存が続くだろう。年間2回の利下げ予想を維持するが、外れるとすれば、利下げ回数がより少なくなるケースとみている。

少なくとも、2010年代のように、経済成長が続く局面でアメリカの政策金利が2%台まで低下する可能性は極めて低い。同国の金利水準が10年前から大きくシフトしたことは、日本経済にも無視できない影響を及ぼすだろう。

(本稿で示された内容や意見は筆者個人によるもので、所属する機関の見解を示すものではありません。本記事は「会社四季報オンライン」にも掲載しています)

村上 尚己:エコノミスト

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