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CM消えた「窮地のフジ」ヤバい会見で見えたリスク ここから起死回生するにはどうしたらいいのか

東洋経済オンライン / 2025年1月19日 8時0分

多くのメディア、あるいはその読者・視聴者は、1月17日の会見で両者のギャップを埋められるような情報が得られるのではないか? という期待を抱いていたはずだ。ところが、フジテレビは、これまでの発表内容と同様のスタンスを貫いた。

つまり、フジテレビとしては、トラブルが生じた会合には、同社社員は関与していなかったという見解を記者会見で改めて表明したのだ。

本格的な調査が行われる前に“否定した”のは勇み足だったのではないか。また、メディア報道との食い違い部分の具体的な説明がないと、説得力に欠ける。

首尾一貫した態度を示しているともいえるのだが、今回の記者会見に対して、メディアのみならず、トラブルの当事者や関係者から新たな批判が起きる可能性がある。さらに、新たな告発が出てくるかもしれない。

今回の会見に参加できなかったメディアはフジテレビに批判的な記事を書きたくて仕方がないだろう。

フジテレビが今後直面する「大きなリスク」

また、トラブルにあった女性は、中居さんに対してだけでなく、フジテレビの対応に対する不満もメディアに吐露している。この記者会見を当該女性が見たら、どのように思うのだろうか。

記者会見の前々日の1月15日、「週刊文春 電子版」が本件に関する新たな記事を配信、および前日の1月16日発刊の『週刊文春』本誌にも同様の記事を掲載している。

その記事の中では、フジテレビの現役女性アナウンサーが、同局の幹部が設定した中居さんとの会食に参加し、そこでも不適切な行為が行われたことを告発している。さらに、港社長自身が過去に“女子アナ接待”を常套的に行ってきたという証言も掲載されている。

冒頭で述べた通り、フジテレビは批判を最小限にとどめるような形式で記者会見を開催した可能性があるのだが、この報道が出たタイミングはフジテレビにとってはよろしくなかったようで、記者会見はこれに対する十分な対策が練られていたようには見えなかった。

記者会見後に同様の告発が新たに出てきたらどうなるだろうか? これが起きると、フジテレビはさらなる混乱が生じることになるが、これまでの報道の流れを見ると、十分に起きうることだと思われる。

決して誤ってはいけない「今後すべき対応」

企業の不祥事、あるいは不祥事疑惑に関しては一般的には下記の流れで対応策が公示される。

1. 調査の実施
2. 調査結果の発表
3. (調査結果に基づいた)対応策の策定
4. (問題が確認された場合)再発防止策の策定と実施

今回の記者会見では、フジテレビは1を行うことを表明したということになる。そうした意味では、半歩前進したと見ることができる。

しかしながら、これまで述べてきたように、

・調査の独立性・中立性・客観性が担保できるのかという懸念
・新たな問題が露呈する可能性

という懸念が生じている。

フジテレビには、1~4までのプロセスを、迅速、誠実、丁寧に行うことが求められる。

平行して、スポンサー離れや、メディアやSNSでの新たな批判など、短期的なリスク対応を行うことも必要になっている。

両者の対応を実行できれば、フジテレビの信頼回復の余地はまだあると思う。ただし、それがかなり厳しい「茨の道」であることも紛れもない事実であるし、次の一手を間違えると、フジテレビは致命傷を負うことにもなりかねない。

西山 守: マーケティングコンサルタント、桜美林大学ビジネスマネジメント学群准教授

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