金価格は第2次トランプ政権下でも上昇するのか 2025年の前半はかなり不安定な値動きになる?
東洋経済オンライン / 2025年1月20日 15時0分
いよいよアメリカの第2次トランプ政権が始動する。市場は新政権が打ち出すさまざまな政策がどのような効果、あるいは混乱をもたらすのか、固唾をのんで見守っている。今回はそのトランプ氏の政策の影響を最も大きく受ける市場の1つ、金相場の先行きについて考えてみたいと思う。
安全資産としての需要は、引き続き大きな下支え要因
まず、安全資産としての金に対する需要は、引き続き大きな下支えとなりそうだ。新年早々グリーンランドをめぐってデンマークを「挑発」するなど、発足するトランプ政権に対して市場がいちばん頭を悩ませるのが、突発的な情報発信であることは間違いない。
それでも、打ち出す政策については、事前にある程度のことはわかっているし、他国との交渉や政策の進め方もある程度学習済みなので、第1次政権時ほどは混乱しないと思われる。
ただ、通常の記者会見ではなく、SNS(ソーシャルネットワークサービス)を通じて、何の前触れもなく新たな方針の発表や変更を行うやり方については、今後も市場が振り回されるのは間違いない。突如SNSを通じてまったく違う方針を打ち出したり、さらにはそれを短時間のうちに撤回するようなことは、第1次政権下でも頻繁に見受けられた。
逆に言えば、「マッドマンセオリー」(狂人理論)に立ったような立ち居振る舞いがトランプ政権の本質である以上、中長期的に先行きを見通して戦略を打ち立てることは難しいし、あまり意味のあることでもない。
当然ながら、彼のSNSにおける発言をそれこそ24時間体制で監視し、何かあれば即座に対応するというのが、最適の方法ということになってくる。そうした中では市場の値動きは不安定になり、ボラティリティー(変動率)も高まることになる。少し目を離している間に状況が180度変わってしまうかもしれないという不安がある限り、安全資産としての金に対する需要が後退することはないと思われる。
そうしたことが過去最高値を更新して、さらに大きく値を伸ばし続けるほどの押し上げ要因になるとも考えにくい。それでも、金価格が今後、1トロイオンス=2700ドル台後半から2800ドルにかけて、レンジを切り上げて高止まりする展開ならば、十分に可能性があるとみてよいだろう。
もっとも、こうした「先行きの不透明感」に対する不安は漠然としたものだ。金への心理的な下支えにはなったとしても、大きなトレンドを作り出すほどに、持続的で強い買いを呼び込むだけの要因になるとまでは考えにくい。
アメリカのインフレ再燃・金利高止まり懸念がくすぶる
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