ニデックの"敵対的TOB"次は牧野フライスに触手 永守氏の野望は「世界一の工作機械メーカー」
東洋経済オンライン / 2025年1月20日 11時30分
年の瀬の2024年12月27日、工作機械業界に激震が走った。モーター世界大手のニデックが、大手工作機械メーカーの牧野フライス製作所にTOB(株式公開買い付け)を実施すると発表したのだ。
牧野フライスは、国内で上場している工作機械メーカーの中でDMG森精機やオークマと並ぶ大手の一角。ニデックは完全子会社化を目指す方針で、全株を取得する場合の買収金額は最大2500億円超に上る。
事前交渉はなく、牧野フライスは「当日に初めて知った」(IR担当者)。賛否を明らかにしておらず、今年1月10日には、社外取締役4人で構成される特別委員会を設置すると発表。買収提案の是非や取引条件、さらに手続きの妥当性や公正性について検討する方針という。
牧野フライスの売上高は直近の2024年3月期で2253億円。ニデックの工作機械事業の売上高は現状1000億円超とみられ、合算で3000億円を優に超える。もし買収が実現すれば、接戦してきたオークマを引き離し、DMG森精機(2023年12月期の売上高5394億円)に続く規模となる。業界でニデックの存在感が高まるのは必至だ。
2023年にはTAKISAWAに敵対的TOB
ニデックの永守重信・グローバルグループ代表は、かねて「世界一の総合工作機械メーカーを目指す」と公言し、関連企業の買収を繰り返してきた。
2021年の三菱重工工作機械(現ニデックマシンツール)から始まり、これまでに計4社を買収。2023年には東証スタンダード市場に上場していたTAKISAWAに同意を得ないままTOB(後にTAKISAWA側も賛同)を仕掛け、傘下に収めた。
その結果、旋盤や歯車加工機など、品ぞろえは充実した。一方、大手と比較すると足りないものがあった。超精密加工用の高性能なマシニングセンタ(MC)だ。技術的なハードルから、世界的に見ても造れる会社は限られる。牧野フライスを含む上位層は、主にこの分野でしのぎを削ってきた。
ニデックもMCを手がけるが、得意なのは汎用機とされる。一方、牧野フライスは精密金型や航空機部品などの加工に用いる超高性能機が強い。縦と横、高低のXYZ3軸に加えて斜めと回転の軸を持つ「5軸加工機」や、複数の加工機能を有する「複合加工機」も充実している。
こうしたハイエンド機種は近年、引き合いが急増している。複数の工程を集約して1台で完結できるため、製造現場の人手不足を解決できるからだ。
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