1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. ライフ

住所非公開「ロールス・ロイス」特注専門の新業態 自分だけの1台を作るプライベートオフィス

東洋経済オンライン / 2025年1月21日 9時0分

2024年にはもう1台「ファントム・シンティラ・プライベートコレクション」なるモデルも発表している。

これはロールス・ロイス・ブランドの120周年を記念した仕様。こちらも凝りに凝って作られていて、たとえばドアの内張とシートで計86万9500におよぶステッチが施されている。

もうひとつの見どころは(ゴールドフィンガーのように)スピリット・オブ・エクスタシーのデザイン。なんと、セラミック仕上げになっている。

そもそもこのマスコットをデザインしたチャールズ・スカイクが、ルーブル美術館に展示されている大理石の「サモトラケのニケ像」を参考にしたというエピソードを参考に、シンティラの”女神”もイメージを近づけた。

イタリア語でスパーク(閃光)を意味する「シンティラ」をサブネームに持った、この特別なファントムは10台限定で、発売が発表される前にすべて売約済みとなったそうだ。

さらに難しい特別仕様を受注することもあるプライベートオフィス。特別中の特別ともいえるクライアントを迎える場所であることから、ロールス・ロイスでは、プライベートオフィスの位置を秘している。看板もほとんど目立たない。

問題は、クライアントの多くが超多忙で、「せっかくプライベートオフィスに来ても時間がとれないことだ」と、ソウルでビスポーク・クライアント・エクスペリエンス・マネージャーを務めるジェフリー・チョイ氏は言う。

「もちろん、家族でゆっくり相談にくるクライアントもいて、そんな方のためには子どもが遊べる施設も用意しています」

さきの「パール・カリナン」誕生のエピソードといい、子どものための施設といい、クライアントの家族と結びつくという在り方が、大変ユニークだ。

“アートピース”をオーダーする人物とは

最後に気になったのが、自分だけのロールス・ロイスを作った場合、「手放したくなったときはどうすればいいのか」である。セカンドハンドの市場はあるのだろうか。

「そういう話はあまり出ません。プライベートオフィスで制作する車両は、いわばアートピースですから。オーダーするクライアントの中には、100台ものクルマを所有している人もいます。あえて手放す必要性を感じる方は、いらっしゃらないのです」

ベイズン氏の言葉に、プライベートオフィスで作られるクルマのクライアント像が表れている。といっても、それが誰なのかは、具体的にはまったく想像がつかない。それが、ロールス・ロイス・プライベートオフィスの世界なのだ。

【写真】富豪のためのロールス・ロイス、その「特別な仕様」を見てみよう(59枚)

小川 フミオ:モータージャーナリスト

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください