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できる人ほど「仕事の道具選び」に妥協しない理由 「よい道具」は使い続けることで進化していく

東洋経済オンライン / 2025年1月21日 18時0分

よい道具を選び、道具に聞くことで、技が磨かれ、同時に使用者の技術に応じて、道具も進化していくのです。

「弘法は筆を選ばず」は正しいのか?

ここでは、稽古における道具の重要性について、ある友人から聞いたエピソードをご紹介したいと思います。

大人になってから書道の師について稽古を始めた経験は、道具と技術の関係性について多くの気づきを与えてくれます。

「弘法は筆を選ばず」ということわざがあります。

これは、名人であれば道具の良し悪しに関係なくすばらしい作品を生み出せるという意味です。しかし、実際に書を稽古する場合には、この言葉とは逆で、適切な道具を選ぶことが上達につながるそうです。

書では、「文房四宝」と呼ばれる紙・筆・墨・硯(すずり)が、不可欠な4つの基本的な道具として知られています。それぞれが、書の表現に大きな影響を与えます。

筆は書き手の第二の手となる重要な道具です。

なかでも、友人が学んでいる和様の書は、その繊細さゆえに筆選びが特に重要です。小さく細い字体を正確に表現するためには、自分の筆の動きと筆の特性の相性を見極め、まるで一体となるように使いこなすことが求められます。

筆を選ぶ際の基準として、古来中国から伝わる「四徳」という考え方があります。これは現代でもよい筆の条件とされており、「尖(せん)・斉(せい)・円(えん)・健(けん)」の4つの特徴を指します。それぞれの意味を簡単に説明しましょう。

「尖」は、尖ってまとまりのある穂先のことです。先が尖っている筆は全体のまとまりがよく、穂先の動きを調整しやすくなります。特に細筆を使う際は、この穂先の形状が極めて重要になってきます。

「斉」は、きれいに整った穂先を意味します。穂先の毛がきれいに整っていると、多くの墨をまんべんなく含ませられます。反対に、はみ出した毛があったり、毛が縮れていたりすると、余分な線を引いてしまうおそれがあります。

「円」は、全体が均等に円錐状になった穂のことです。円錐状だと適切な墨の量で滑らかな線が書けるようになります。さらに、穂割れを防ぐ効果もあり、運筆も滑らかになります。

「健」は、程よい弾力を持った穂を指します。筆に適度なコシと弾力があると、筆圧の加減で穂先の動きがしなやかになり、「とめ」「はね」「はらい」の表現を自在にすることができます。

これらの「四徳」がバランスよく備わった筆を選ぶことで、書き手の技術を最大限に引き出し、より豊かな表現が可能になります。

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