1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. ライフ
  4. ライフ総合

医師も早合点「認知症は悪化していく」は間違い 治せる認知症だってあることを知っておこう

東洋経済オンライン / 2025年1月21日 7時0分

症状の変化に気づいた場合も、真っ先に「改善できる可能性」について考えましょう。

医療や介護のプロにも起こる「早合点」から身を守れ

数々の誤解・勘違い、そして早合点は、一般の人たちだけにあることではありません。いまはまだ、認知症の医療や介護に携わる人のなかにも、偏見をもっている人がいます。

それは人がこんなに長生きするようになったのが、この20、30年ほどのことで、認知症についていろいろなことがわかってきたのも最近だからです。認知症の診断や治療について学ぶ機会があまりなかった人も少なくないでしょう。

私が医者になったのは2003年でしたが、その翌年(2004年)12月から「痴呆」という言葉が認知症に改まりました。

とはいえ当時、患者さんに認知症の診断がついていると、病院で診てもらえないことがあるという状況もありました。

なぜならその頃の医療は「患者さんの病気を治し、社会復帰をめざす」もので、老化を診る医療教育は少なく、認知症の人の尊厳を守るといった意識も薄い時代でした。

しかし超高齢社会のいまは、認知症の人は診られないとなったら、患者さんは大きく減ることになります。何科の医師であっても認知症を理解し、対応力をもたざるを得ない時代となり、実際に多くの医師が関わっていますが、認知症について学ぶ機会が少なかった人も含まれるのです。

認知症の診断については、認知症を中心に診療している医師にとっても大変難しいもので、慎重にならざるを得ません。慎重を期しても、現代医学では確定診断はできないのが認知症です。

また、認知症に限らず、高齢者の病気の診断は若い人のそれと比べて難しいものです。なぜなら症状に「複数の持病の影響」「多剤服用の影響」「生活習慣の影響」「運動機能低下の影響」「メンタルヘルスの影響」などが関係することがあり、診断基準どおりに答えを出せないことが多いからです。

高齢者が認知症の状態になることは老化の一部とも考えられ、老化を診る医療はまだ成熟しているとは言えません。

しかし、認知症の診断の難しさはあまり理解されていないのです。そして医師が「もの忘れ=認知症=アルツハイマー型」と考えていたら、誤診も起こります。

日本の「抗認知症薬」処方は他国の5倍

日本は先進国のなかで「抗認知症薬」の処方がとても多くなっていて、その量は他国の5倍にもなっています。もの忘れを相談すると、すぐにアルツハイマー型認知症の診断がつき、抗認知症薬が処方されることがあるためでしょう。他の原因疾患や治療可能な認知機能障害の有無が検討されていないことが往々にしてあります。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください