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セブン&アイ、業績悪化で単独路線にともる赤信号 買収提案の最終判断は5月の株主総会までと表明

東洋経済オンライン / 2025年1月21日 10時30分

セブン&アイの行く末に暗雲が漂っているといえそうだ(写真:yamahide/PIXTA)

「あまりにも最悪のタイミングだった」

1月9日、セブン&アイ・ホールディングス(HD)の幹部はこのように嘆いた。この日は2024年3〜11月期の決算発表日で、その中身が悲惨だったからだ。営業利益は前年同期比23%減の3154億円、純利益も同65%減の636億円に陥った。同期として営業減益に陥るのはじつに4年ぶりのこと、純利益に至っては2年連続となった。

昨年暮れに刊行された『セブン&アイ 解体へのカウントダウン』の著者で『週刊東洋経済』副編集長の田島靖久記者は、「セブン&アイの行く末は視界不良」だという。

主力のコンビニが大不振

セブン&アイ苦境の理由は、主力のコンビニエンスストア事業の不振に尽きる。

まずは国内コンビニだ。消費者の生活防衛意識が高まる中、他社が商品の増量や値引きに走る中で出遅れて客足は遠のいた。足元では「うれしい値!」と銘打った低価格商品の投入などが奏功して復調傾向にあるというが、遅れを取り戻すのは容易ではない。

さらに厳しいのがアメリカを中心とする海外だ。物価高で低所得者層を中心に買い控えが進み、主力であるアメリカの既存店売上高(ガソリン除く)は、2024年9月まで13カ月連続で前年割れし、併設するガソリンスタンドも販売が減っているからだ。

こうした本業の不振によって特別損失も発生。アメリカで不採算店舗の閉鎖費用として567億円を計上、イトーヨーカ堂でもネットスーパーからの撤退関連費用として458億円計上し、純利益が大きく減少する事態に陥ったわけだ。

セブン&アイにとって、これだけの業績悪化は確かに厳しい。しかしなぜ「最悪のタイミング」と幹部は語るのか。

それは、著書でも詳細に触れているが、セブン&アイは2024年8月にカナダのコンビニ大手アリマンタシォン・クシュタールから買収提案を受けているさなかだったからだ。現在、セブン&アイをめぐっては、(1)クシュタールからの買収提案のほか、(2)創業家主導の買収による株式非公開化(MBO)、そして(3)単独による現経営体制の維持という3つの案が並行して走っており、セブン&アイが設置した特別委員会がどの案が妥当か議論している。

このうちクシュタールの提案については、アメリカにおける独占禁止法への対応が明らかになっておらず、資金調達面も含めて疑問符が付いている。一方、実質的な買収防衛策として打ち出した創業家によるMBOに関しても、7兆円以上ともいわれる買収資金の調達をめぐって調整が難航しており、セブン&アイの丸山好道最高財務責任者(CFO)も「特別委員会が議論しているが、買収実現のハードルはどちらにもありソリューション(解決策)はまだきていない」と語る。

スタンドアローンで行きたいが…

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