消える「伝統的気動車」ハイブリッドに交代の背景 メンテナンス性向上、「税制面の優遇」も利点?
東洋経済オンライン / 2025年1月21日 6時30分
単純に言えば、従来型の気動車を新造するよりもハイブリッド式や電気式のほうが税金が安くなることになる。
その点も踏まえて、鉄道各社はハイブリッド式などの気動車を導入しているのだろうか?実際に聞いてみた。
今後も増えるハイブリッド・電気式
まずJR九州に聞いた。同社によると、YC1系の新製にあたっては固定資産の減免を活用しているが、ハイブリッド気動車にしているのは税制面の優遇を受けるためではなく、近年の燃料コスト高騰への対応、二酸化炭素排出量や騒音などの低減といった地球環境への貢献の観点からだという。
HB-E220系を導入することになったJR東日本にも聞いた。税の減免については回答がなかったが、環境への負荷低減と、液体式気動車特有部品の削減や電車と同様の機器の採用によるメンテナンス性向上を意図して、ディーゼルハイブリッド気動車を導入することにしたという。
税制がメリットになるのは、JRよりも中小私鉄や第三セクターであろう。今後はこれらの鉄道会社でもハイブリッドや電気式気動車を導入するケースが増えていくのではないだろうか。
【写真】従来型気動車の代表格といえばこの車両、国鉄型のキハ40系
冒頭で述べた、JR東日本が2025年度下期から営業運転を開始する予定のHB-E220系は、高崎エリア(八高線・高麗川―高崎間)に2両編成8本、盛岡エリア(東北本線・花巻―盛岡間、釜石線)に2両編成6本、1両編成4本が投入される。合計は32両で、同社が近年導入を進めてきたGV-E400系が計63両であることを考えると規模は大きい。
また、JR四国もローカル線向けとしてハイブリッド式気動車を導入する予定だ。地方の三セク鉄道でも、天竜浜名湖鉄道(静岡県)が従来車両の置き換えとして電気式気動車を導入するとしている。気動車の主力は「伝統的」な液体式から、ハイブリッド式や電気式になりつつある。
小林 拓矢:フリーライター
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