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「風邪に対する特効薬」が発明されない納得理由 症状は抑えられてもウイルス退治はできない

東洋経済オンライン / 2025年1月22日 16時0分

ざっくり言うと、免疫細胞が出すシグナルの影響で体の節々が痛くなったり、発熱などが起こります。私たちは、発熱や咳などに対して、日常生活を妨げる原因となる嫌なイメージしかありませんが、実はより強力な免疫細胞の助けを借りるための、シグナルであったり、免疫細胞の戦いを有利に進めるための、手段であったりします。

やがて、身体がウイルス量を減らして戦いが終われば、風邪であれば熱が下がるのが一般的です。そして大多数の風邪は、免疫力が働いてウイルスを除去し、2〜3日程度で回復するのが一般的です。ただし、一部例外として厄介な細菌などに侵されると、1週間〜10日ぐらい症状が続く場合があります。

なぜ風邪の特効薬が存在しないのか?

風邪の原因の80〜90%を占めるウイルスはとても単純なDNAやRNAを持っていて、増殖し、簡単に変異する存在です。またウイルスは人間などの宿主の細胞に入り込んで、大量に自分の遺伝情報をコピーします。この時にウイルスの自身の部品も細胞に作らせて、その細胞から飛び出すことで、増殖します。

皆さんも新型コロナウイルスの流行でご存じのように、簡単に変異してしまうからこそ、何度も感染することになるのです。このように驚異的なスピードで変異しやすいウイルスに対しては特効薬を開発するのはとても難しいとされています。

ですから、医療機関に行っても特効薬はもらえません。さらに、つらい熱を下げるための解熱薬は、「侵入したウイルスの増殖を抑えて排除しよう」とする発熱作用にブレーキをかけてしまいます。つまり「根本を治す風邪ウイルスの治療薬は存在しない」「解熱薬、総合感冒薬(発熱、頭痛、喉の痛み、咳、鼻水などを和らげる薬)」などは、風邪の治りを遅くする可能性があるのです。

さらに、風邪の症状を治すために、医療機関に行く方も多いと思います。しかし、医療機関には体調が悪い方も多いので、病原菌に感染しやすくなります。

薬では風邪の症状を抑えることができても、ウイルスを退治することはできません。結局、免疫細胞がウイルスを退治するまで、待つしかないのです。

鈴木 素邦:有限会社クラヤ代表取締役 城西大学薬学部非常勤講師

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