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物価上昇きついのに「デフレ脱却宣言」出ない理由 2001年に政府が発表してからいまだ脱却できず

東洋経済オンライン / 2025年1月22日 9時40分

一方、カレールウの場合は油脂や小麦などの原材料価格や物流費の上昇が主な値上げ要因で、天候不順による野菜の値上がりとは異なる理由です。天候不順を一時的要因とみなすかどうかについては意見が分かれますが、物価を評価するうえでは、持続的な傾向を捉える必要があります。

私たちが買うモノやサービスの値段の動きの全体を見るのに消費者物価がよく使われます。特に「生鮮食品を除いた」指数が注目されます。これは、雨量や日照量で収穫が大きく影響される野菜などは値段の変動が大きいことから、生鮮食品を含めて物価の動きを見てしまうと、物価が“持続的”に上昇しているかの判断がわかりにくくなるからです。政府もデフレの判断で最も注目する指標は消費者物価(生鮮食品を除く総合)です。

その消費者物価(生鮮食品を除く総合)ですが、足元は2022年4月から2024年11月まで32カ月連続で“緩やかな物価上昇”の目処とされる前年比2%を上回ってきました。このような流れもあり政府は直近の年次経済財政報告で「現在、わが国は明らかにデフレの状況にはない」と示しています。

であれば、なぜ政府はデフレ脱却の宣言をしないのでしょうか。それは政府が定義するデフレ脱却は「デフレでないこと」だけでなく「再びデフレに戻る見込みがないこと」も必要だからです。

将来、デフレに戻る見込みがないことを確認するには、かなりのハードルがあると見られます。政府はその判断について消費者物価(生鮮食品を除く総合)だけでなく、(1)GDPデフレーター、(2) 単位当たり労働費用と(3) GDPギャップの指標を示したうえで「総合的に考慮し慎重に判断する」としています。デフレ脱却の判断の前提には、これらの3指標も前年比で改善する必要があります。そこで、これらの指標の足元までの傾向を見てみましょう。

政府が判断に使う指標の中身

(1)GDPデフレーターは、名目GDPと実質GDPの比率です。四半期サイクルで見た場合のGDP(国内総生産)は、その3カ月間に日本国内で生産された商品やサービスの価格から原材料価格を引いたものです。これが名目GDPとなります。その推移を過去と比較する場合に、過去と同じ量の商品を生産していても、商品価格が上がると、その分、名目GDPも上がってしまいます。こうした価格上昇分を除いたものが実質GDPです。名目GDPと実質GDPの比率を見ることで名目GDPにおける価格上昇分がわかります。

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