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MIXI、「競輪チャリロト」不正発覚で再燃する不安 再び露呈したガバナンス不全、過去の教訓生きず

東洋経済オンライン / 2025年1月23日 7時50分

スポーツ事業の2024年3月期売上高は329億円と、スマホゲーム関連事業(988億円)に次ぐ規模にまで拡大している。セグメント損益はオーストラリアのベッティング事業の先行費用などにより赤字が続くが、その中でもチャリ・ロトは安定的に成長を続け、同期の売上高は174億円、経常利益は18億円に達した。

買収前から曰くつきの会社だった

今回、不正に関与した取引先は、上田氏と前・営業本部長の個人的なつながりを契機に取引を開始した個人事業主だった。

決裁プロセスの最終承認権者でもある2人がこれらの取引先について独占的に対応しており、取引の具体的な中身はブラックボックス化していた。一部は社内ルールで定められた相見積が実施されないまま決裁プロセスが進められたほか、契約書が締結されなかったり、取引の実態が契約書の内容と異なったりするケースもあった。

2006年に設立されたチャリ・ロトは、実は買収前から曰くつきの会社でもあった。

2007年に同社を買収したテラネッツ(現クラウドゲート)では、2006年から2009年まで経営陣の共謀により不適切な会計処理が行われていたことが、2011年に発覚している。当時の第三者調査委員会の報告書によると、一連の不正においてチャリ・ロトを介した循環取引も行われ、取締役だった上田氏も協力・関与していたことが認められている。

その後、チャリ・ロトはジャフコなどの傘下を経てMIXIの完全子会社となったが、今回問題となっている上田氏による金銭の受領は、MIXIが買収する前の2018年2月から行われていた。調査チームの報告によると、一連の調査で証跡は発見されなかったものの、MIXIによる買収後も、今回の事案とは別にチャリ・ロトと取引先2社との間で不適切な資金のやり取りに関する疑義があるという。

MIXIは「買収時のデューデリジェンスにはしっかり取り組んだ」(島村恒平CFO)とする。しかし、昨年10月に外部から情報提供を受けるまで不正を見抜けなかった背景には、ガバナンスに対するMIXI経営陣の意識の低さもある。

例えば、チャリ・ロトにおける監査役による業務は会計監査に限定され、取締役の業務執行状況は対象外だった。これついてMIXIの島村CFOは、「連結(化した)時点から業務範囲を変えていなかった。前の段階で(監査の対象の変更について)判断すべきだった」と説明した。

子会社化後はMIXIの役職員を出向させていたものの、調査チームの報告は「チャリ・ロト社の事業や取引に関する理解が十分ではなかった面もあり、期待されたけん制機能としての役割を十分に果たせていなかった可能性がある」と指摘している。

過去には子会社の不正で社長交代も

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