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中居問題の根底にフジのキャスティング至上主義 「大物を引っ張り出せるのが偉い」という時代錯誤

東洋経済オンライン / 2025年1月23日 12時0分

(撮影:今井康一)

かつて圧倒的な人気と影響力を誇っていた民放キー局のフジテレビが、開局以来最大の危機を迎えている。中居正広氏の女性とのトラブルをめぐって、フジテレビ社員の関与が報道されたからだ。

これを受けて、17日には港浩一社長による記者会見が行われたのだが、そこでも被害者に対する謝罪の言葉はなく、会見の内容も疑惑を払拭するようなものではなかったため、火に油を注ぐ結果となった。

世間の人々からは批判の声が高まり、フジテレビにCMを出稿しているスポンサー企業も続々と動き出し、トヨタ自動車や花王など50社以上の企業が同局でのCM放映を差し止めたと報じられた。

事の発端は、「女性セブン」と「週刊文春」でタレントの中居氏のスキャンダルが報じられたことだった。記事によると、中居氏は女性と性的トラブルを起こし、9000万円の解決金を支払って示談をしたのだという。このトラブルにフジテレビのプロデューサーのA氏もかかわっているとされていた。

制作会社にいたときに感じたテレビ業界の体質

その後、「週刊文春」では続報として、フジテレビの女性アナウンサーが匿名でフジテレビ幹部に性接待を強要された実態を生々しく告白。中居氏とフジテレビへの批判の声はさらに高まった。

まだ疑惑の段階ではあるが、一連の騒動の中で噂されているのは、フジテレビの幹部やプロデューサーが、日常的に女性アナウンサーを接待要員として取引先やタレントとの飲み会に同席させており、そこに性的な加害もあったのではないかということだ。

率直に言って、この一連の報道が出たとき、私はそれほど意外には思わなかった。私自身は過去にテレビ番組の制作会社で働いていたことがある。当時の自分の周囲ではそのような話を聞いたことはなかったが、テレビ業界全体の体質のようなものは何となくわかっている。

報道内容が事実ならば本当にひどい話だ。そして外形的な状況からして、フジテレビでは、そうしたことが誘発されやすい土壌があったといえる。

なぜなら、フジテレビでは「とにかく大物タレントをキャスティングして、企画はその後から考える」という形の番組作りをする傾向が強く、タレントへの依存度が高いからだ。

もちろんほかの局でも似たようなことはあるだろうし、数字を持っている人気タレントが重宝されるのは間違いないのだが、「企画が先か、タレントが先か」という大雑把な二分法で言うと、フジテレビはタレント先行型の番組作りをすることが多い印象がある。

フジテレビと対極にあるテレビ東京

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