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近鉄奈良駅、地下に広がる「ターミナル」の特異性 徒歩数分でシカに会える、外国人にも大人気

東洋経済オンライン / 2025年1月23日 6時30分

奈良市中心部の地下に広がる近鉄奈良駅。寺院の回廊のように柱が並ぶホームの駅名標にはシカの姿も(記者撮影)

古都・奈良の玄関口、近鉄奈良駅へは関西国際空港からの外国人観光客が降り立つ難波から快速急行に乗れば近鉄奈良線で35~40分ほど、京都からも特急でほぼ同じ所要時間で行くことができる。

【はじめに写真を見る】「近畿日本奈良駅」という名称だったころの併用軌道や地下化前後の貴重な写真。そして現在、近鉄奈良駅の構内は日本国内と思えないくらい外国人観光客で大にぎわいだ

国の天然記念物に指定されたシカが生息する奈良公園はすぐ近く。駅から徒歩数分の街中でシカに出会える。大都市からこれほど簡単に出かけられ、シカが当たり前のように歩いているエリアにある駅は、世界的にも珍しい。学校の遠足や修学旅行で訪れた思い出のある人も多いに違いない。

地下に広がるターミナル

近鉄奈良線の終点で駅ビルも建っているが、電車が発着する様子を外からうかがい知ることはできない。駅は地下に広がっている。改札階は地下1階。観光地らしく、名物の柿の葉寿司や、土産物を売る店舗などが軒を連ねている。2023年の1日乗降人員(11月7日調査)は5万4783人と奈良県内にある近鉄の駅で最も多い。

【写真】「近畿日本奈良駅」という名称だったころの併用軌道や地下化前後の様子を写した貴重な写真。そして現在、近鉄奈良駅の構内は日本国内とは思えないほど外国人観光客で大にぎわいだ

改札口は東と西にある。東大寺や興福寺、春日大社方面へは東改札口が近い。地上に上がると、噴水と行基菩薩像が立つ広場がある。東西方向に奈良のメインストリート大宮通り、南北方向に観光客でにぎわう「東向(ひがしむき)商店街」が通っている。

駅の所在地は東向中町。東向の地名は東側に興福寺の伽藍が広がっているため、西側の家々が東を向いていたことに由来するという。

一方、西改札口には近年の外国人観光客の急増を物語るかのように、たくさんのコインロッカーが所狭しと設置されている。市内各地へのバスを利用する場合も西改札口が便利だ。

ホームは地下2階に4面4線。京都や大阪、神戸の中心部と直結する電車が頻繁に発着する。京都方面との間には特急も設定されている。朝には大阪方面へ、夕方以降は奈良方面へ通勤・帰宅時間帯の着席需要に応じた特急が走る。2022年には大阪難波―近鉄奈良―京都間を結ぶ観光特急「あをによし」がデビューした。

ホームの端に「列車扱室」と表示された一角がある。近鉄奈良駅の須合良介駅長は「昔はここで信号を手動で扱っていました。私にとっては先輩に鍛えられて仕事を覚えた、懐かしい思い出のある場所です。ホームからは見えないですが炊事場があって、食事を作ったり、コーヒーを入れたりするのも新入社員の仕事でした」と話す。

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