JALパイロット飲酒問題で「遅すぎた初動」の裏側 問題の把握後に国交省への報告が遅れた理由
東洋経済オンライン / 2025年1月23日 17時30分
日本航空(JAL)で2024年12月に起きたパイロットの飲酒問題。JALが問題を把握してから、国土交通省へ報告をするまでの4日間の状況が東洋経済の取材で明らかになった。
【写真】国交省はJALに対する業務改善勧告の中で飲酒問題の報告が遅れたことを問題視している
国交省は12月27日、JALに対して業務改善勧告を行っている。勧告の中で「アルコール事案の報告が遅れた事実」を指摘している。
実は、鳥取三津子社長をはじめとした関係役員は、国交省へ報告すべき事案ではないと認識していた。経営幹部の安全意識が問われる事態となっている。
3日以内に国交省に報告する必要があった
飲酒問題は、12月1日のオーストラリア・メルボルン発成田行き774便の機長と副機長(ともに解雇処分済み)が起こした。
【1月23日15時55分追記】初出時の便名が誤っていたために修正します
乗務前日に過剰な飲酒をし、機長は腹痛と偽って出勤を遅らせ、副機長は酒気帯びで出勤した。そのうえ乗員がそろって受ける正式なアルコール検査を実施せず、副機長はアルコールが検知されなくなるまで1人で自主検査を繰り返していた。
自主検査を繰り返した結果、副機長のアルコール検知結果はゼロとなった。検査当初はアルコールが検知されていたわけだが、JALはそれを「誤検知」と判断、運航を強行した。便の出発は3時間遅れた。
機長と副機長は口裏合わせをして過剰飲酒の隠蔽を図っていた。だが12月3日になってようやく事実を告白し、問題が表面化した。
パイロットが酒気帯びで会社に出勤した場合、航空各社は事案の把握から原則3日以内に国交省へ報告することが航空法で義務づけられている。JALが機長らの過剰飲酒を把握したのは12月3日。12月5日までに国交省へ報告をするべきだったが、1日遅れて12月6日に報告をしていた。
12月4日、鳥取社長をはじめとした関係役員間で情報が共有される。
本来であれば、過度な飲酒が発覚した時点で国交省へ報告をしなければならなかった。しかしJALの役員らは、「乗務前のアルコール検査がゼロだから問題ない」と判断していた。
事態が動いたのは12月5日。運航管理の最高幹部であるオペレーション本部の下口拓也本部長が、赤坂祐二会長に飲酒事案についての報告を行った。
赤坂会長は飲酒事案は国交省へ報告すべき事案だと認識し、報告を指示したという。赤坂会長は安全管理システムを管理する責任と権限を有する安全統括管理者を2019年から務めている。いわばJALの安全管理の責任者だ。
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