「3カ月で4キロ減量」成功したのに心を病んだワケ 「成功体験」がなぜか無駄になる人"2つの特徴"
東洋経済オンライン / 2025年1月24日 18時0分
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殊勝な成功者にも闇がある
最近、努力家な人が増えてきたように感じる。
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単純に、テクノロジーの進化や社会の変化によって、努力することのハードルが下がってきたことも一因かもしれない。
良いことだ。努力は勝利や報酬以外にも様々な成果を生み、自己肯定感を養ってくれる。そして、その成果を栄養として次なる目標を掲げ、また人は努力する。
素敵なサイクルだ。このサイクルの真ん中で盆踊りでも開催して私もグルグルと回っていたい。フェスだ、フェスを始めよう。
そんな中、そうした人々に「なぜあなたはそのような努力ができるのか?」と尋ねると、多くの人から「努力しないと不安だから」などの、殊勝な言葉が返ってくる。
怠惰な私としては爪の垢を煎じて飲みたい心持ちだ。なんなら家に専用のドリンクサーバーを置いて定期的に飲みたいぐらいの勢いであった。
しかし、殊勝な彼ら/彼女らのメンタルにも、闇が巣食っていることを私は知っている。
殊勝な成功者たる彼ら/彼女らに巣食うメンタルの闇、その一例を紹介しよう。
ダイエットに成功した女性の闇
ある日、私のSNSのDMボックスに、ダイエットを目標にする一人の女性から「毎日、ダイエットの経過を報告します」と、一方的ながら応援したくなるDMが届いた。
スタートから1カ月は、お菓子を食べてしまったり深夜にラーメンをすすってしまったりと散々な様子だったが、徐々にダイエット中の自覚が出てきたのか、2カ月目から彼女は変わった。
具体的には、毎日会社からの帰宅時に最寄り駅の1駅前で降りて徒歩で帰り、3日に一度のランニングを始めたのである。
ダイエット開始から3カ月が経ったころ、成果は出た。
身長160cm、55キロだった彼女の体重が、突然51キロまでダウンしたのだ。
これは大きな成果である。
彼女はDMで「双子出産したんか? ってぐらい身体軽いです」と冗談交じりに成功談を語ってくれた。私も奮って褒めちぎり、喜びを共有した。よし、フェスだ、やはりフェスを開催しよう。
しかし、フェスの開催に間に合わず、事件は起きた。
毎日の歩数を増やす生活を送っていた彼女の膝が壊れたのだ。
幸いにも大きな怪我ではなかったが、ランニング中に動けなくなる程度の痛みから始まった、全治2週間の筋肉系の怪我だった。
彼女は残念そうに「もう一回双子出産してやろうと思ったのに。名付けてショットガン出産」と私に話した。
私も「出産で銃刀法違反するんじゃありません」と、笑って返した。
ここからさらに事件が起きた。
待てど暮らせど、彼女の膝が快方に向かったという連絡が来ない。
心配になり、私から彼女に連絡を取ると、なんと膝を手術することになったという。
私はDMを眺めながら、自身のスマートフォンに向かって大手町のド真ん中で「ハイィ!?」と叫んでしまった。
どうやら彼女は、自身の膝が壊れたのにもかかわらず、ランニングを続けていたそうだ。
なぜそんなバカなことを! 私は心配と少しばかりの怒気を込めて、彼女に理由を問うてみた。
彼女は答えた。
「運動しないと、体重が増えてしまうのではないかと不安で心が潰れてしまいそうだったから」
成功体験は、自分のメンタルを苦しめる時がある
彼女は誰が見ても成功と言える成果を出した。
体重55キロが突然51キロまでダウンした、その下がり幅そのものが成果である。
しかし、物理的な成果とは裏腹に、その成功体験は彼女のメンタルに凶悪な闇を作った。
その闇こそが、「努力を続けないと悪いことが起きるのではないかと不安になる」ことだ。
これはなかなかタチの悪い闇で、人の成功体験を原資として存在している例が多い。
つまり、努力したことによる成功が今の自分を作っており、だからこそ、努力しないなら成功はなく、今の自分が消える。
そう考えてしまう、一種の強迫観念である。
この強迫観念の最たる例として「強迫症」なる病が存在する。
この「強迫症」は、世界保健機関の報告において、生活上の機能障害を引き起こす10大疾患の一つとされているものだ。
例えば、「手が汚れているのではないかと気になって、一日に何十回・何百回も洗う」や「家の鍵を閉めたか気になって、出勤途中に何度も自宅に戻って施錠の確認をする」など、自分でもおかしい、つまらないことだと分かっていても、そのことが頭から離れず、何度も同じ確認や行動を繰り返してしまう、日常生活にも影響が出る重篤な病である。
その結果、本人の健康やメンタルの正常稼働を阻害し、最悪の場合、今回のようなケースを引き起こすこともある。
彼女は並々ならぬ努力の結果、成果とともに自己肯定感を手にした。
彼女はきっとこう思ったのだ。この成果は努力によって手に入れたものであり、裏を返せば、努力なくしてはこの成果はない。つまり、今後も努力すれば同様に成果を掴めるが、努力しなければ元の自分に戻ってしまう。
私はこの現象を、先ほど「成功者の闇」と表現した。
「闇」と表現した理由は二つある。一つ目は、何を恐れているのかが本人にしか分からないこと、二つ目は、その状態が悪化した時に現れる症状に決まった形がないこと。
これらは非常に厄介だ。周りから本人の闇が見えないし、状態が掴めない。対処ができず、本人が異常な行動をしていても野放しになる。
彼女は怪我をしていても、その闇にとりつかれて成果を求め走り続けた。誰にも言わず、当然のように、そして自分の心に宿る不安から逃げるように。
ここまで来ると、輝かしい成功体験も立派な呪いだろう。
じゃあどうすればいいの! 走るのを休んだら太ってしまう、走らなければメンタルが壊れてしまう! 逃げ口なんてないじゃない!
もし私が彼女であったら、そのように叫び出したくなるだろう。本人としては良かれと思っての行動であっただろう。他者からすれば、むしろ殊勝で一生懸命とも感じられる行いだ。
しかし、どんな理由があろうと健康を損ねてまで得られる成果に価値などない。
戦略で、闇を祓え
それではここから、この闇を祓う手段を伝授しよう。
彼女のメンタルに巣食う闇を祓う手段は、ズバリ! 「戦略を織り込むこと」。
……大丈夫、全然難しくないから。最近コレ中学生に話したら普通に理解してもらったから!! 二次関数よりは簡単って言っていたから!(実話)
では、話を整理しよう。
①彼女は自身の成功体験により、努力、つまりランニングを継続しないと自己を保てないと考えた。
②その結果、無茶な運動を続けて、身体を壊した。
③彼女自身も休息の必要性を理解してはいるが、メンタルが不安に侵食されていく苦しみに苛まれている。
以上。
整理すると、①は判断、②は結果、③は影響である。
ここでポイントになるのは、①の時点で、彼女は「努力」を「とにかくランニングを継続すること」だと考えている点だろう。
彼女の考える「努力」は、この場合、ただ走ることだけがダイエットだと狭く捉え、自身の体調や体力を加味していなかった。だから、②のような無茶なダイエットをしてしまったわけだ。
つまり、②を引き起こす①に問題がある。
ここで、「戦略」の出番だ。
まず、「戦略」とは何か?
みんなご存じの広辞苑では、「作戦計画。戦争を全局的に運用する方法」(一部省略)と記されている。
分かりやすく言うと、戦略とは「作戦」であり、「目的達成に向け、自らを滞りなく運用する方法」なのである。
彼女に抜けていた視点は、まさにこれだ。
彼女は、戦略を持たなかったから目的達成(ダイエット成功)に向かって、最後まで自身を運用できなかった。
ここで、戦略(作戦)を決められたならば何をするだろう?
彼女に足りなかったものはなんだろうか?
それはズバリ、休息である。
そう、きっと休憩やダイエットを休む日を織り込んだはずだ。
するとアラ、不思議。戦略上取り決めた休憩やダイエット休息日を実行すると、その休憩中や休日は、「ランニングをしていない期間」から「次のランニングに向けた準備期間」に早変わりする。
怠慢によるサボりではなく、次のランニングを行うための休息という位置づけになるのだ。
これを理解すると、メンタルが傷つきにくい。なぜならば、努力をサボっていないから。
そう、これは明日のランニングをしっかり行うための休息という名の準備であり、明日のランニングをしっかり行うための休憩という作戦なのだから。
この「戦略」という考え方は、目的の達成を容易にしてくれるだけはなく、私たちのメンタルに余裕を与えてくれる。
どんなスポーツ選手もビジネスマンも、誰もが戦略を持ち、自身の肉体と精神を常にベストに運用できるように計らっている。
私も、意図的に仕事をしない日や、日課のトレーニングを休む日をしっかり事前に決めて、戦略としている。
サボっている? そう見える? いいえ、これは明日の自分に必要な準備です。
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アルファポリスビジネス編集部
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