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建築に20年!「三田のサグラダファミリア」の圧巻 地下室や屋上など、内部も不思議な空間広がる

東洋経済オンライン / 2025年1月25日 7時30分

蟻鱒鳶ルを手がけた一級建築士の岡啓輔さんは、住宅メーカーでの勤務や、鳶職、鉄筋屋、型枠大工など、現場での経験を積んできた。

岡さんは2000年に自らの住居として、ここ港区三田の土地を購入する。2003年には「蟻鱒鳶ル」案が、『SDレビュー』(建築・環境・インテリアのドローイングと模型の入選展)に入選。

2005年に着工し、岡さん自ら設計をして、施工もする「セルフビルド」の鉄筋コンクリート建築に挑んだ。

まずツルハシとスコップを使って土を掘り、地下を作るところから作業は始まった。土を掘り土嚢(どのう)に詰めて運び出すという重労働だが「楽しかったですよ」と岡さんは振り返る。

「掘り始めて70cmぐらいまでは、江戸時代からずっと人が住んでいる土地なので、茶碗や瓦の欠片とか生活の痕跡がいろいろ出てきました。でもそこから下は、生物も物も何もないんですよ。誰も触れていない混じりっけのない土をサクサク掘るのは気持ちよかったです」

地下から順にコンクリートで作られた蟻鱒鳶ル。特徴はコンクリートの「質のよさ」にある。

コンクリートは、セメントと砂と砂利、水を混ぜて作る。コンクリートの強度は水とセメントの割合で決まり、水が少なくセメントが多いほど強度と耐久性が高まる。

岡さんは「日本の鉄筋コンクリートの建築の平均寿命は短い」と語る。強度と耐久性のある質のよいコンクリートを目指し、建築学会や土木学会が公表するセメントに対する水の質量の比率(水セメント比)の最高値にあわせて作ることにした。

一般的な建物の場合、セメントに対する水の質量の比率は60%前後が主流だが、岡さんは37%程度に抑えたのだ。

「200年、300年持つ」と太鼓判も

蟻鱒鳶ルを訪れた大学教授やコンクリートの専門家らは驚き、「これなら200年、300年持つ」と太鼓判を押したという。

さらには、こんなこともあった。

「あるとき、おじいさんが壁に手を当て優しく触っていたんです。話しかけたところ、元土木技術者をされていた方でした。橋を作る仕事で良質なコンクリートを使っていたそうで、『とてもじゃないけどこのレベルには到達できなかった』と言ってくださいました」

各階のコンクリートの壁や天井を見ると、フシギな装飾があることに気づく。ぐるぐるの紋様や大きな穴、丸や四角のポコポコとした膨らみ、波形をしたパーツなど、見ているだけワクワクする。

さて、再び1階へ。コンクリートの階段を1段ずつのぼっていく。

2階以上は住居エリアに

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