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吉野家の跡地に出現「おしゃれカレー店」の実態 新業態を直撃!味のクオリティは申し分なしも…

東洋経済オンライン / 2025年1月25日 8時30分

インバウンドを取り込みたいなら、彼らが好みそうな和や日本を感じるものを打ち出すべきではないか。SNS発信を狙う店にしたければ、もっと映える商品を投入してもよかったのではないか。

「とろ~りチーズビーフカレー」あたりが映えるのかもしれないが、今SNSのバズも高度化しており、チーズをとろけさせるだけではなかなかバズらない。

取って付けた要素がターゲットブレの原因?

そもそも、最初は日常で使える業態として設計していたところに、スペースがあるから「網棚も置くか」「荷物置きもつけるか」と取って付けたことでターゲットがブレている説が有力だと筆者は考えている。

それでメインターゲット(地元民)にプラスアルファ(インスタ女子、観光客)の集客が取れるならいいが、実際はそうもいかない。地元民がゆったり食事しているところにパシャパシャと撮影しているグループがいたら萎えるし、大荷物のインバウンドが押しかけても居心地が悪い。

あれもこれもと欲張るのでなく、ターゲットは揃えないと結果的に誰にも刺さらない。カレーのクオリティは高く、とても美味しく食べられただけに惜しいと感じた。

なお、カレーにはデフォルトで2種類のトッピングが付けられる。トッピングを変えることで同じカレーも飽きずに楽しめるので、リピートを誘っているように見える。

この点も、一回限りのインスタ女子や観光客でなく、繰り返し利用しやすい地元民を期待しているように感じる。

名店とのコラボカレーは大成功

一方で、吉野家は同じカレーで大成功を収めている。1月16日から発売された「牛魯珈カレー」だ。カレーマニアからも評価の高い名店「SPICY CURRY 魯珈(ろか)」とコラボしたメニューは大きな話題となっている。

この「牛魯珈カレー」の成功は、「SPICY CURRY 魯珈」の知名度やカレーのクオリティもさることながら、吉野家既存のリソースである牛丼のあたまと、「SPICY CURRY 魯珈」監修のカレーのコラボレーションがバチっとハマったことではないだろうか。

実際に口コミを見てみると、吉野家の牛丼でおなじみの甘辛味の肉が、「SPICY CURRY 魯珈」監修のスパイシーなルーを引きたてていると評判だ。2つの要素が足し算ではなく掛け算で合わさり、1+1が2以上の価値となっている。

本稿では、吉野家の新業態「もう~とりこ」をレビューさせてもらった。カレーがおいしいからこそ、辛辣な言葉になってしまったが、決して小さくない課題ではあるものの、ターゲティングさえしっかりすれば、カレー事業には大きな可能性があるとも感じた。

吉野家には、もともとあるリソースをただ転用するだけでなく、リソースを活用するからこそ、単体では発揮できない大きな価値を生む店づくりやキャンペーンを期待したい。

【もっと読む】わずか3年で3割値上げ「大戸屋ランチ」変化の実情 物価高の時代、庶民の味方は今もコスパ最強だ では、外食ニュースメディア「フードスタジアム」の編集長である大関まなみ氏が、大戸屋の看板商品である「大戸屋ランチ定食」について、専門家の目線から詳細に解説している。

大関 まなみ:フードスタジアム編集長/飲食トレンドを発信する人

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