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閉ざされた中朝国境が2月についにオープンか 「北朝鮮を引き寄せたい」中国側の思惑とは

東洋経済オンライン / 2025年1月25日 10時0分

しかし、前述の瀋陽の旅行業者は「早ければ2025年3月の往来正常化もありうるし、遅くても5月のメーデー連休(ゴールデンウィークに相当)前までには開放されるのではないか」と打ち明ける。「メーデー連休前に往来正常化」という話は、瀋陽にある北朝鮮領事館関係者が語った話だという。

2025年3月上旬に往来再開が発表されれば、現在「ロシア人が大量にエントリーしている」とロシアメディアが報じている、同年4月中旬開催予定の「平壌国際マラソン大会」へのエントリーにも間に合うかもしれない。

ロシアは国策的に過去最多人数、オリンピック級の選手も平壌マラソンへ送り込むのではとの情報も飛び交っている。

現時点で、ロシア経由なら北朝鮮への観光入国ができる。しかし、なぜかロシアの友好国であるはずの中国人は、ロシア経由での入国はできないそうだ。

もし、本当に2025年3月に中朝の往来正常化が実現すれば、大量の中国人アマチュアランナーが平壌の街を疾走する光景が見られるのかもしれない。

だが2024年秋以降から中朝間の動静をウォッチしていると、中国政府の焦りをどうしても感じざるをえないのだ。

北朝鮮のロシアへの急接近は、経済的に大きく依存している中国から離れる“脱中国”も意味する。そのため、中国の習近平国家主席は、北朝鮮の金正恩総書記に対して強い不満と不信感を抱いていると伝えられる。

「中国が国境を接する14の国で、いまだに国境封鎖をしているのは北朝鮮だけ、理解できない」と朝鮮族が嘆くように、中国は半ば制裁的に中朝国境の封鎖を継続し、人的往来も制限した。2024年は「中朝友好年」だったのに、友好らしいイベントもなく寂しいままで終わったと考えられている。

トランプ政権発足で中国に焦り?

しかし、ロシア問題を棚上げにしてでも、北朝鮮へ妥協とも言える動きを中国が見せる背景には、2025年1月21日(日本時間)に返り咲いたアメリカのトランプ大統領の存在が影響している、と朝鮮族実業家はみている。

2期目のトランプ大統領は移民問題や物価対策など国内問題を片付け、イスラエル・パレスチナの中東問題、ロシアによるウクライナ侵攻に一定のメドをつけたら、次は北朝鮮問題へ動き出すのではないかと考えられているようだ。

1期目には米朝首脳会談を3度行っているので、当たり前のように中国をスルーして、直接「ディール」(交渉)で金正恩総書記との首脳会談を実現させる可能性が高い。

中国としてはその前に、アメリカ対策ということもあり、北朝鮮を中国側へ何とか引き寄せておきたいという思惑もみえてくる。

中朝国境の主導権は中国政府が圧倒的に強く握っている。北朝鮮にとっては生殺与奪権と言ってもよいだろう。トランプ新政権や中国のアメリカ対策で、北朝鮮には多少のうま味を与えてでも中国側へ少しでも引き戻しておきたい――。

だからこそ今春、北朝鮮への往来を正常化させ経済を活発化させる可能性が高まってきたようだ。

中野 鷹:中国・北朝鮮ウォッチャー

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