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中居さん引退で続出「番組サイトの削除」の違和感 オールドメディア批判加速、業界の倫理観が議論に

東洋経済オンライン / 2025年1月25日 8時30分

かくいう筆者も、「即削除」の対応は適切だと思えない。ネットメディア編集者としての、これまで10年以上の経験からすると、ネット空間では「削除は悪手」が定説だからだ。SNS投稿も「消せば増える」と言われており、情報をコントロールしようとすればするほど、より拡散されてしまう傾向にある。

なぜ削除が好まれないのかというと、ひとえに説明責任から逃げている印象を与えるからだ。

番組公式サイトは、視聴者もしくは、そうなり得る人々に、補足情報を共有する場だ。「宣伝になる時だけ使って、矢面に立ちそうになると捨てる」と判断されれば、あまりに都合がよすぎるのではと感じさせてしまう。

なにもサイトを「そのまま残せ」と言っているのではない。中居さんが一般人となった以上、写真を使い続けることは難しいだろう。であれば写真のない、番組ロゴのみで対応すればいい。過去回のアーカイブページも必須ではない。

残すのはトップページのみでいいから、番組公式サイトは一定期間残し、打ち切りの経緯を伝える場所として活用すべきではないか。

突然打ち切られた番組は、電波を使って「最後のあいさつ」をすることができない。長年の視聴者に対する誠意として、それくらいしても罰は当たらないだろう。

「だれかtoなかい」は公式サイトで「最後のあいさつ」

ちなみに皮肉にも、渦中にあるフジテレビの「だれかtoなかい」公式サイトは1月24日午前現在、ロゴマークとともに「1月12日の放送から休止としておりました当番組は、総合的に判断し、放送を終了することにいたしました」と添えられており、これらの要件を満たしている(公式Xアカウントは削除された)。

「即削除」により、ないがしろにされているのは、視聴者だけではない。あらゆる番組は司会者ひとりでは成り立たない。終了した各番組も、中居さん以外の出演者や、番組スタッフが存在していたからこそ、ここまで続けてこられたのだ。

彼ら彼女らのほとんどは、報道が出るまで、疑惑の存在すらも知らなかっただろう。

しかしながら、急転直下で打ち切りが決まり、ぼうぜんとしている人も多いはずだ。そこへ来てのサイト削除は、関係者の功績どころか、「番組があった事実」すら抹消しているように感じさせる。

放送局の判断だとはいえ、この末路は、あまりにも誠実さに欠けているのではないか。疑惑への対応に気を奪われすぎたあまり、関係者への配慮も不足しているとなっては、「テレビ業界内のテレビ離れ」も加速していく可能性がある。

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