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中居さん引退で続出「番組サイトの削除」の違和感 オールドメディア批判加速、業界の倫理観が議論に

東洋経済オンライン / 2025年1月25日 8時30分

芸能事務所からしてみれば、大事なタレントが雑に扱われていると感じないだろうか。制作会社もスタッフの企画力を邪険にされていると思わないか。

もし多少なりとも違和感が残るのなら、今回の疑惑で問われている「仕事をもらっているから言えない状況」が再生産されてもおかしくない。考えすぎかもしれないが、そうした「ギョーカイ的な構造」を凝縮した結果が、サイト削除に現れている気がするのだ。

放送局が持つ強い権限がチラつく

近年、芸能人の不祥事をめぐって、「作品に罪はない」という言葉が話題になりがちだ。映画やドラマで用いられることが多いが、バラエティー番組においても、その視点から評価する視聴者は増えつつある。

「番組に罪をなすりつけて、闇に葬ろうとしている」ように見える対応は得策ではない。

そして、その背後にチラつくのが、放送局が持つ強い権限だ。ネットメディアが隆盛になっても、いまなおテレビの持つ影響力は計り知れない。そして、テレビ局側もそれに気づいており、だからこそ強気かつ保身的な姿勢に出るのではないか。

公式サイトの削除も、その延長線にあると筆者は考えている。生殺与奪の権はテレビ局が握っており、多くの関係者は、その意向に従わなければならない。そこから透けて見えるのは、「テレビに出してやる」的な尊大さなのではないか。

芸能人や番組スタッフは、仕事をもらっている立場ゆえに、強く言えないかもしれないが、視聴者はそうではない。少しでも「上から目線」を感じさせれば、すぐ拒否反応を示す。

最近SNSユーザーが、マスメディアを「オールドメディア」と呼んで批判するのは、まさにその現れだ。今回の対応によっては、さらに視聴者のテレビ離れが進むだろう。すでに主導権は、放送局ではなく視聴者が握っている。

評価軸は「顧客離れの防止」に変化している

主導権を持つのは、スポンサー企業も同様だ。もし少しでも「テレビは広告効果があるんだから、黙って広告出稿すればいい」といった雰囲気を感じさせてしまえば、このまま離れていってしまいかねない。

これはCM見合わせが相次ぐフジだけでなく、民放テレビ局全体に共通したリスクだ。すでに評価軸は「顧客認知の向上」よりも、「顧客離れの防止」に変化しつつある。加点ではなく失点で判断したとき、いくら広告効果が高くとも、購買層にウケる他媒体へと移行する可能性は少なくない。

つまり、すでにこれは中居さん個人でも、企業としてのフジテレビでもなく、日本のテレビビジネス全体が岐路に立たされているのだ。マスコミは「権力監視」を掲げているが、自身が持つ「強大な権力」については自己批評が足りていない。

もし権利を乱用していると感じさせれば、一気に状況が変化してもおかしくない。フジ・港浩一社長の「閉鎖的な会見」を境に、スポンサーが一気に出稿見合わせを決め、あっという間にACジャパンのCMだらけになった。

1月23日のフジ社員向けの説明会で、港社長は「(会見が)終わって失敗したと思いました」と語ったというが、時すでに遅しだ。テレビ各局はいま、一挙手一投足が注目されていて、そのどれが命取りになるかわからない。「サイトの即削除」もまた、その一端になり得るのだ。

【もっと読む】会社擁護で炎上「フジ男性アナ」に私が同情する訳 注意不足だが、彼も今回の騒動に巻き込まれた側だ では、批判を集めたフジテレビアナウンサーの発言について、コラムニストの城戸譲氏が詳細に解説している。

城戸 譲:ネットメディア研究家・コラムニスト・炎上ウォッチャー

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