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栃木の名門ゴルフ場「花火大会」「街コン」の"勝算" イメージ変えるチャレンジングな取り組みとは

東洋経済オンライン / 2025年1月26日 10時30分

夏休みにゴルフ場を1日解放

同ゴルフ場では花火大会だけでなく、夏休みにゴルフ場を1日解放する「ごるふぁみふぇすた」を2013年から8年間、実施した。

ふぇすたには300~400人以上の子どもが参加し、スナックゴルフ(プラスチック製のクラブでテニスボール状の柔らかい球を打つゲーム)や、ゴルフカート試乗体験、コース内の池で遊ぶ「じゃぶじゃぶ池」、スイカ割り、屋台グルメ村などを楽しんだ。

コロナ禍以降、中止となったままだが、再開を地元の自治体から要請されているという。

ほかにも、レストランに導入したピザ窯を活用した「こどもピッツァ作り体験」や、鹿沼市出会いの場創造協働事業に連携して、夜のゴルフ場を活用した婚活イベント「しかコン」を開催。

ほかの運営ゴルフ場でも、ディナーやキャンプを楽しむ企画がある。

イベントの種類は20にのぼる

スタッフからでてきた企画案は、社内で稟議し、よりよいものへと仕上げていく。

広報担当のデジタルマーケティング室・荒川麻理部長によると、これまで行われたイベントの種類は20にのぼるとのこと。もちろん、すべての企画が成功するわけではない。例えば、ゴルフ場でゴルフクラブを販売しようとしたが、それはうまくいかず、2年で撤退したそうだ。

だがなぜ、ここまで柔軟な発想ができるのか。

範治氏は「グループのビジョンに、“次のゴルフ場を創り出す”を掲げているので、ゴルフ場がゴルフをするだけの場所ではないという意識が、社員の中に生まれている」と話す。

会員からは、ゴルフ場が荒れてゴルフに支障が出ないのであれば、イベントをしてもかまわないといった声が多く聞かれた。実際、花火大会やふぇすたの後はクラブハウスやフェアウェイを元通りにし、翌日のラウンドに問題がないようにしたという。

また、会員は花火大会などのチケットを優先的に取れるようにするなど、配慮も怠らなかった。

もちろん、採算が取れるかどうかも大きな障壁だ。企画を提案するスタッフも、そこをまずは考える。

先に挙げたゴルフ場でのキャンプイベントも、実施するたびにテント内に冷蔵庫を置くなど内容がブラッシュアップされ、「この企画があるから、ゴルフ場の会員になりたい」と、十数名が新規入会したという。

地域活性化のプラットフォームに

範治氏は「変化する世の中で、地域を活性化し、地元の人を元気にしたいという思いがある。さらに、ゴルフ場に普段来ない人たちに来てもらうことで、ゴルフを知ってもらうきっかけになれば」と話す。

コロナ禍で始めた花火大会は、地域の人に愛されるイベントの1つとなり、鹿沼市長も来場するほどまでに成長した。花火大会が市の広報誌に掲載されたことで、社員のモチベーションにもなり、会員からも喜びの声をもらったという。

「今後は、常設でキッズパークのようなものを作りたい。また、今はタオルなどのリネン類をクリーニングする自社工場を立ち上げているが、こういうゴルフ場の困りごとを解決する事業も立ち上げたい」(範治氏)

鹿沼グループの挑戦はゴルフ場という枠を超えて、地域社会に新たな価値を生み出すモデルケースとなっている。ゴルフが社会を豊かにする可能性を広げている鹿沼グループの活動に注目したい。

嶋崎 平人:ゴルフライター

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