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PCが「通信込み」で買える時代は来るか KDDIがPC大手と組む「eSIMビジネス」の本気度

東洋経済オンライン / 2025年1月26日 9時30分

ConnectINの狙いは、PCだけにとどまらない。KDDIが描いているのは、これまで通信機能が入っていなかった機器にまで常時接続を広げることだ。

たとえば監視カメラにAI機能を載せ、異常を検知したときだけ映像を送信すれば、ネットワーク帯域を無駄に使わずに監視を強化できる。

車いすに通信が搭載されれば、段差や急な坂道をリアルタイムで把握し、安全なルートを案内するといったことも可能になる。

教育分野では、電子黒板メーカーのさつき株式会社と組み、黒板に書いた内容を遠隔地でも同時に共有できる仕組みを検討している。こうした取り組みを通じて、通信を社会インフラとしてあらゆる機器に溶け込ませ、新たな価値を生み出そうというのがKDDIのビジョンだ。

通信対応のPCの少なさがブルーオーシャン

一方で、通信機能を内蔵するモジュールコストや、それに伴うPCの平均出荷単価の上昇にどう折り合いをつけるかが課題になっている。現在、4G/5G通信に対応したPCは全体の10%にも満たないという。これまでハイエンドのモバイルノートを中心に限定的に展開されてきたため、特に最新規格の5Gへの対応はまだ道半ばだ。

もっとも、ここにこそ潜在的なビジネスチャンスがあるとも言える。KDDIはすでに国内PC市場のシェア80%を誇るメーカーから参画の約束を取り付けており、早期に100億円規模の事業に育てたい考えだ。Windows 10のサポート終了が控える2024年度から2025年度にかけては、企業の買い替えがピークを迎えると見られているため、まさに勝負どころとなる。

スマートフォンのように端末と通信が一体化すれば、リモートワークやクラウドサービスの利用もさらにスムーズになる。PCだけでなく車いすや監視カメラなど、ありとあらゆる機器に通信が“当たり前”に備わる社会は、遠い未来の話ではないかもしれない。KDDIが「ConnectIN」を通じて描くその世界が、OS更新の特需を追い風にしてどこまで実現するのか。今後1〜2年の動きが大きなカギを握りそうだ。

石井 徹:モバイル・ITライター

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