32年のベテラン老中「松平武元」過労で死去の悲劇 台頭著しい「田沼意次」の時代へと突入する
東洋経済オンライン / 2025年1月26日 8時0分
だが、仕事がデキる人の宿命でもあるが、武元はやや頼りにされすぎたらしい。
安永8(1779)年3月末に病のために、出仕できなくなると、武元は「職務を免除してほしい」と願い入れるも、聞き入れられなかった。4カ月後の7月にも、解職を願い出るが、「勝手掛はほかの老中に頼むから」となだめられて却下されている。
それでも体調は悪化する一方で、7月26日、在職中に67歳で死去している。経緯からして、過労がたたってしまったのであろう。
江戸幕府全期を通じて老中になったのは、172人。そのなかでも武元の任期は最も長く、実に32年にわたって老中を務めた。
そんな頼れる男・武元を失ったとなれば、家治もさぞ不安だったに違いない。意次をますます重視するようになる。
老中が次々と亡くなる
しかも、武元がなくなった翌年の安永9(1780)年に、板倉勝清と阿部正允の二人の老中が死去。加えて、やはり老中の松平輝高も、天明元(1781)年にこの世を去っている。
その結果、意次にどんどん権限が集中し、そのことが賄賂政治の横行につながったとされている。
松平武元と田沼意次。父の代からの人間関係を重視した側近政治が、家治政権の特徴だといえるだろう。
【参考文献】
鈴木俊幸『蔦屋重三郎』 (平凡社新書)
鈴木俊幸監修『蔦屋重三郎 時代を変えた江戸の本屋』(平凡社)
倉本初夫『探訪・蔦屋重三郎 天明文化をリードした出版人』(れんが書房新社)
後藤一朗『田沼意次 その虚実』(清水書院)
藤田覚『田沼意次 御不審を蒙ること、身に覚えなし』(ミネルヴァ書房)
真山知幸『なにかと人間くさい徳川将軍』(彩図社)
真山 知幸:著述家
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