宮崎県延岡市にミャンマー人が押し寄せる理由 「民」から始まった地方都市とミャンマーの交流
東洋経済オンライン / 2025年1月26日 8時0分
「日本で働く」といえば、ミャンマー人の間でも東京や大阪などの都市部が一番人気です。しかし、延岡を指定してくるミャンマー人が出てきています。もちろん延岡を知らないミャンマー人も多いため、延岡の実情を丁寧に伝え、トラブルや失踪防止対策も行っています。
同時に、研修に参加したミャンマー人経営者や先に延岡で働いたミャンマー人から直接伝えられる情報は、説得力と安心感を与えているようです。
商工会議所が主体となってミャンマーとの交流を行っていたこともあり、ミャンマー人を受け入れた企業同士、来日後のミャンマー人同士の交流も活発に行われています。
例えば、ロータリークラブなどを通じてバーベキュー大会や海水浴といったイベントが開催され、ミャンマー人が働きやすく、生活しやすい環境作りに力を入れています。
延岡で働くミャンマー人たちは、延岡の魅力をミャンマーにいる友人や家族に伝え、その情報を聞いた人々が延岡を選ぶケースもあるようです。また、ミャンマー人に限らず日本語教育も積極的に行われ、地域全体で外国人労働者、とくにミャンマー人対象の生活支援は進んでおり、延岡の企業や医療福祉施設での人財の国際化が進んでいます。
「ミャンマーに進出も」
延岡市商工観光文化部工業振興課の田中哲雄課長補佐は、「延岡市では2024年からミャンマー人がとくに増加しています」と指摘します。
延岡市は宮崎県内で3番目に人口の多い都市ですが、農業や畜産業が産業の中心であるため、外国人が多く働く食品加工や労働集約型の工場が少ないなど、産業構造的にも外国人があまり多くない地域でした。それほど外国人が多くなかったことが、結果的にミャンマー人に特化して増加する条件として適していたのかもしれません。
2014年に初めてミャンマーを訪問し、延岡・ミャンマー友好協会の設立当初から事務局長を務める太陽工業株式会社の梶井崇之社長は、2018年からミャンマー人材の採用を開始しました。これには日本人の採用が難しくなってきた状況に加え、近年ではベトナム人の採用も困難になりつつあることが背景にあります。
梶井社長自身はミャンマーを何度も訪問しており、その経験を生かして技能実習生4人を受け入れ、さらに2022年には正社員としてミャンマー人エンジニア2人を採用しました。
そのうちの1人であるイエ・コー・ウーさん(32歳)は、ほぼ独学で日本語能力試験「N2」レベルを取得しました。これは日本の大学への入学も可能な日本語力を持つということです。
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