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「御上先生」伝授"思い出す勉強法"で成績は伸びる ただ教科書やノートを見返すだけの復習はダメ

東洋経済オンライン / 2025年1月27日 9時0分

アクティブ・リコール式の勉強法と問題演習式の勉強法の差を例えてみるなら、「何もヒントのない状態で、1カ月前に会った初対面の人の名前を思い出す」のが、アクティブ・リコール式で、「『ほら、国語の先生をやっているって言ってた人で、名前が、こ、から始まる人でさ……』といったヒントを得た状態で、その人の名前を思い出す」のが問題演習式といったところでしょう。

どちらのほうが「思い出す」良い練習になるかといえば、前者。アクティブ・リコールのほうですよね。

ちなみに、僕が偏差値35から東大に合格したのも、この勉強法のおかげです。

偏差値35で、テストでも赤点ばかりだった僕が、東大受験を決心し、多くの先生に「どうすれば頭がよくなりますか?」と聞いたときに、ある予備校の先生がこんなアドバイスをくれました。

「西岡くんはきっと、勉強したことが頭でぐちゃぐちゃになっているんだ。せっかく知識をたくさん入れても、その取り出し方がわからないのでは意味がない。いいかい、今日から毎日、夜にこういうことをしなさい。まず、真っ白い紙を用意する。

そしてそこに、今日勉強したことの内容を、思いつく限り具体的に書いていくんだ。どんなノートを書いたのか、どんな話を先生はしていたのか、教科書にはどんな内容が書いてあったのか、とにかく思い出せるだけ再現するんだ」

日本の学校教育を見直すヒントにも

これは、まさに御上先生がおすすめしていた勉強法ですが、実際にこの勉強法を実践して、僕は成績を急上昇させることができたのです。

そして、この「アクティブ・リコール」、ただ勉強法として優れているだけでなく、その本質を考えてみると、実は、日本の学校教育を見直す示唆を与えてくれているのではないかと思います。

僕は、今までたくさんの高校生から勉強の相談を受けてきましたが、その多くに「勉強する内容が多すぎて、終わらない」というものがありました。勉強する内容が増えすぎたがゆえに、生徒1人ひとりが、学んだことを思い出す時間が減ってしまっている。これは、「アクティブ・リコール」と正反対の状態です。

昔よりも参考書の種類は増え、問題集のクオリティは上がり、教育系のアプリも増えています。それなのに、なかなか日本全体の学力は上がっていません。英語能力指数ランキングである「EF EPI英語能力指数」の2024年度調査では、日本は116カ国中92位で、過去最低の記録であったことがわかっています。

なぜ昔より優れた学習環境になっているのに抜本的に学力が向上していないのか。僕は、この問いについて、「教える」時間が多くなっているあまり、「思い出す」という時間が少なくなってしまっているからではないかと思います。

思い出す時間を確保しないと学力は伸びない

昔よりも良い参考書が使えて、昔より良質な授業を受けられるようになっているけれど、その分、その学びを自分でそしゃくして、思い出す「アクティブ・リコール」の時間が取れなくなっていたら本末転倒です。

予備校の授業を誰よりも多く取れば、成績が上がるわけではありませんよね。朝から晩まで塾で先生の話を聞き、それに追われるがあまり、復習をして、自分の頭を整理する時間が取れなかったら、学力は伸びないでしょう。そういう意味では、もっと自分で「思い出す」練習をさせる教育が、日本には必要なのかもしれません。

西岡 壱誠:現役東大生・ドラゴン桜2編集担当

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