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茶道や武道、瞑想で「心が整う」とはどういう事か 科学的に裏付けられた健康効果が存在している

東洋経済オンライン / 2025年1月28日 15時0分

打ち水の効果は五感を通じて体験できます。

具体的には、打ち水をする際の水しぶきの音、湿った土の香り、涼やかな空気の感触など、五感を通じて得られる感覚が、私たちの脳内で快適さや清浄さという情報に変換されます。この情報処理過程を通じて、心身のバランスが整えられていくのです。

・視覚:水が地面に染みこむ様子を見る
・嗅覚:湿った土の香りを嗅ぐ
・聴覚:水しぶきの音を聴く
・触覚:水滴や涼しい空気を肌で感じる

現代の神経科学の知見からも、環境からの刺激が脳内の神経回路を活性化し、ストレス軽減やリラックス効果をもたらすことがわかっています。打ち水のような伝統的習慣は、このような科学的メカニズムを経験的に活用してきたといえるでしょう。

さらに、打ち水という行為自体が持つ、儀式的な側面も重要です。

決まった作法や道具を用いて行うこの行為は、日常から一歩離れた特別な時間と空間を創出します。この「非日常」が、心身をリセットし、新たな気持ちで日常に戻る準備を整えます。

このように日本文化に組み込まれたさまざまな習慣や所作は、自然環境と調和をはかって、無意識のうちに心身のバランスを整える知恵を内包しています。これらの知見は、現代科学の視点からも、心身の健康を維持するための有効な手段として再評価され、応用されつつあります。

内面に注意を向けるだけで心身が整う

現代社会では、絶え間なく流れる情報の洪水の中で生きることを余儀なくされています。だからこそ、いかに情報を整理し、心身の健康を保つかは、多くの人々にとって切実な課題となっています。

この課題に対処するための有効な手段として注目を集めているのが、「マインドフルネス瞑想」です。私の知人の経営者でも、多くの方が何かしらのかたちで瞑想を取り入れています。

この瞑想法は、茶道や武道の稽古のなかにも含まれていた技術と通じるものです。

マインドフルネス瞑想に取り組む多くの人々が、「座ってすぐに思考があふれ、集中できない」という悩みを抱えています。正式なマインドフルネスのトレーニングでは、このような状態は自然なプロセスの一部だと教えられます。

瞑想をしているうちに起こる感覚や思考を観察し、気づきを得て自分を見つめ直すことが目的とされているからです。

自律神経を整えるという観点からこの瞑想を説明すると、外に向く注意をカットすることで整う方法ということになります。

難しく考える必要はなく、ポイントは、ふだんは外のことばかり気にしている私たちの注意を、意識的に自分の内側に向けることだけです。

興味深いことに、ただ注意を向ける矢印の方向を変えるだけで、体の機能が勝手に整い始めるのです。

「心が整う生活」を取り入れよう

神経科学や心理生理学から、意識的に注意を向ける方向を変えることが自律神経系の機能に影響を与え、ひいては全身の生理的状態を調整することが確認されています。

リラックスするためにスマホで動画やドラマを観る人が多いと思いますが、外側の情報に注意を向け続けることになるので、実際には頭がスッキリしないのはこのような理由です。

今回ご紹介した神社参拝、打ち水、マインドフルネス瞑想や、それにヒントを得たご自身のルーティンを生活に取り入れることで、自然と整う日々を過ごすことができるようになるはずです。

梅澤 さやか:カルチャーマーケティング・コンサルタント

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