XやMetaを巻き込みネットリテラシー向上に本腰 官民共創プロジェクト「DIGITAL POSITIVE ACTION」の狙い
東洋経済オンライン / 2025年1月28日 11時0分
2024年1月に発生した能登半島地震では、SNS上に投稿された偽の救助要請が実際の救助活動を混乱させた。インターネット空間で拡散される誤情報が、現実社会に深刻な影響を及ぼす一例だ。
【写真で見る】「DIGITAL POSITIVE ACTION」のステートメント
こうした問題を解消するため、総務省は1月22日に新プロジェクト「DIGITAL POSITIVE ACTION」を開始した。GoogleやMeta、LINEヤフー、TikTokといった大手プラットフォーム事業者だけでなく、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクなどの通信事業者を含む計19者が参画している。
デジタル空間の構造的課題
誤情報が生まれやすい背景には、耳目を引くほど経済的な価値が高まる「アテンションエコノミー」の仕組みがある。刺激的な情報ほど拡散されやすいことで、過激なコンテンツや虚偽情報が目立ちやすくなる。
また、ユーザーの好みに合わせて情報が最適化される「フィルターバブル」により、人々は自分の価値観に合う情報だけを見がちだ。その結果、似た考えの人々の間でだけ情報が響き合う「エコーチェンバー」現象が生まれ、特定の見方が増幅されていく。
こうした社会課題を議論してきた「デジタル空間における情報流通の健全性確保の在り方に関する検討会」は、制度面・技術面の対応と並んで、「普及啓発・リテラシー向上」を重点課題として示した。今回のプロジェクトは、そうした提言を受けた具体的アクションでもある。
“共創的”な日本型アプローチ
一方、世界では規制強化の動きが加速している。EUは2022年に包括的なデジタルサービス法(DSA)を施行し、プラットフォーム企業に対して違法コンテンツの削除や透明性確保を義務づけた。アメリカは言論の自由を重視し自主規制を基本としながらも、規制強化を求める声が高まっている。また、中国は政府による厳格な管理を行っている。
この世界的な潮流の中で、日本は独自のアプローチを選択した。川崎ひでと総務省大臣政務官は「世代に応じた多様な普及啓発」「事業者による自主的なサービス設計上の工夫」「信頼性の高い情報への誘導」という3つの方向性を示す。「情報社会がポジティブな社会になるよう、1人ひとりがアクションを起こしていくことが重要です」と力を込める。
プロジェクトを統括する慶應義塾大学大学院の山本龍彦教授は、「情報空間の民主化とそこでの惑わしの力が、社会に深刻な影響を与えている」と指摘する。
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