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「保育園落ちて育休延長」審査厳格化がはらむ矛盾 提出書類は増え、自治体の負担も結局減らない

東洋経済オンライン / 2025年1月28日 8時0分

認可保育園、認定こども園、小規模保育等の認可の保育は、自治体が利用調整(入園選考)を行いますが、国の法令にそって、家庭や子どもの「保育の必要性」を客観的に点数化して判定し、必要性の点数が高い子どもから優先して入園させるしくみになっています。

しかし、フルタイム・育休明けなど点数が高い家庭が保留通知を求めて入園申請をした場合、本人たちの意に反して入園が決まり、そのために今すぐ入りたい人が落ちてしまう。しかも、自治体職員が公平を期して煩雑な調整作業をした結果であるにもかかわらず、決定者からは「入りたくなかった」「保留通知がほしい」という泣きが入るという、「誰も得しない」状態が生まれてしまうのです。

これを回避するため、多くの自治体が、

入園申請書に「希望する保育所等に入所できない場合は、育児休業の延長が許容できる」などの趣旨のチェック欄を設けて、「育休延長許容(可能)者」については、保育の必要性が低いことを理由に点数を下げる、という対策を講じてきました。

この対策は、当時の厚生労働省保育課(現在のこども家庭庁保育政策課)も、公平な利用調整の範囲として2019年に認めています。2024年には、この通知は改正され、「入園保留を希望する」ような文言の選択肢にならないよう、自治体に注意喚起がされました。

保育園を考える親の会の調査「100都市保育力充実度チェック 2024年度版」では、この件に関する2025年度からの自治体の対応を聞いていますが、「育休延長が可能である」ことを利用調整において参照すると回答した自治体が調査対象100市区中71市区に上りました。

反対に、一切配慮しない回答とした自治体は11市区、未定と回答した自治体は18市区(調査当時)でした。

入園申し込み時に、自治体が保護者に「育休延長を希望するかどうか」を聞くのは「厳格化」によって認められなくなりましたが、「希望」ではなく「許容」するか否かを聞くというのであれば、自治体の利用調整事務に必要な情報収集の範囲内、という解釈がされているのです。

「保留通知」を求めないという解決策

「厳格化」のきっかけとなった内閣府の「地方分権改革に関する提案」では、より具体的な解決策として、自治体から次のようなことも提案されていました。

・育休延長制度を撤廃し子が2歳になるまで育児休業給付金を支給可能とする。

・「保留通知」ではなく「保育所等を利用していない旨の証明」をもって、支給期間を延長する。

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