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4655mの峠越え「タジキスタンの温泉」入ってきた 美しい風景が続くも過酷な道のりに四苦八苦

東洋経済オンライン / 2025年1月29日 11時0分

この国境はトラブルが多く報告されている。ヒッチハイカーのなかには、許可証を取得するために標高3000m以上の無人地帯にある国境で、数日間足止めを食らった人もいるという。

筆者の依頼したガイド兼ドライバーはこのイミグレで、入国審査官に大量のタバコやソフトドリンクを渡していた。世界的に賄賂は消滅しつつあるが、ここでは健在のようだ。

自転車で峠を越える子ども連れの旅行者も

キルギス側の国境からタジク側の国境まで約20km。夏のピーク時ということもあり、1日50人は超えているようで、そのほとんどが独仏英をはじめとした西洋人が占めている。バイクや自転車で越える人も多い。

西洋人の家族連れで、小学生低学年の年齢とおぼしき子が自分の自転車で4000m級の峠越えをしている姿も見かけた。何かというと安全安心を強調する日本の子育てとは乖離(かいり)した世界がある。海外を旅していると現地の文化だけでなく、旅行者という異文化から気がつかされることが少なくない。

タジキスタン側の入国審査があるキジルアルト峠は4280m。旅行者は国境を越えられるが、車やドライバーは国境を越えられないので、ここで別の車とドライバーにバトンタッチせざるをえない。車のチャーター代が高かったのにはこのことも関係しているのだろう。

パミールハイウェイはこの国境が最高地点ではない。車はさらに高度をあげて、4655mのアク・バイタル峠を越えた。チベットやインドのラダックには5000mを超える峠を自動車が越えるところも存在するが、高山病を考えると、極端な話、1mでも高度が下がってくれるとありがたい。

今回の旅行にあたり、高山病の薬であるダイアモックスをLINEのオンライン診療で処方してもらった。海外なら処方箋なしで安く手に入れることもできる。この薬のせいで筆者は頭痛を感じなかったが、同じく服用した妻は車の後部座席で寝込んでいる。薬の効く具合も含めて高山病は個人差が大きい。

ネット不通・決済は現金のみの町へ

やがてハイウェイの左側に有刺鉄線が張られたフェンスが延々と続くようになった。ガイドに尋ねると中国との国境だという。中国との国境ははるかに遠方の分水嶺(ぶんすいれい)沿いと認識していたが、ソ連崩壊後とタジキスタン内戦の後、中国に割譲され、2011年に国境は画定した。

これによって中国が得た土地は1000㎢というが、正方形にして30km四方あまり。この荒涼とした土地を獲得する意味は理解しづらいが、領土をめぐる執念が可視化されることになった。

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