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弘兼憲史「スーパーのレジ待ち」すら楽しむ境地 「おもしろきこともなき世」も心持ちで変わる

東洋経済オンライン / 2025年1月29日 13時0分

天災、異常気象、物価高、政治不信、治安悪化による生活不安……。

一方の明るい話題といえば、スポーツ界に目を移し、パリ2024オリンピック・パラリンピックでの、日本選手団によるメダルラッシュ。アメリカMLB(メジャー・リーグ・ベースボール)で史上初となる50本塁打・50盗塁「50・50」を達成し、2年連続3度目のMVPを受賞した大谷翔平選手の活躍など、数えるほどしかなかったような気もします。

とはいえ、です。明るいニュースが少ないからといって、塞いでいても仕方ありません。世間は世間、自分は自分と切り離し、自分だけの"ちょっといい話"、自分だけの"いいニュース"を探してみませんか。

小さなことでいいのです。"ちょっといい話"を、自分だけの"いいニュース"として楽しんでみる。喜んでみる。そして、ニッコリしてほしいのです。

たとえば、「いい映画を観た」「テレビの連ドラ、思ったより面白かった」「なんとなく入った店のラーメンが美味しかった」「安くてうまい居酒屋を見つけた」。

あるいは、「駅までの道、一度も信号に引っかからなかった」「満開のサザンカ並木に癒された」「つい口走ってしまった"オヤジギャグ"に、部下が笑ってくれた」「理由はわからないけど、今日は妻の機嫌が良かった」。

そんなことでいいのです。自分にとっては十分な"いいニュース"ですから。

そんなニュースの一つひとつを、スマホのスケジュール帳などにメモしておく。あとでそれを読み返したら、ニコッとすることができます。

好奇心を持って「人間」を楽しんでみる

面白くもない世の中を面白く生きるための第一条件は、"好奇心"かもしれません。かくいう僕は"好奇心のかたまり"を自負しています。

知らないことや珍しいものに興味を持って、「何だろう?」「どうしてだろう?」と知りたがる。今まで食べたことのないもの、たとえそれが"ゲテモノ"と呼ばれるようなものでも、とりあえず口に入れてみる。

人間観察も好奇心の一つです。

僕は漫画のネーム(コマ割りやセリフなどを描いた下書き。漫画の設計図)をファミリーレストランで描くのですが、隣のテーブルに男女がいれば、さりげなく聞き耳を立てます。

どうやら夫婦ではなさそうだ。上司と部下かな。そうでもなさそうだな。取引先の関係かな……。

なんて考えながら見ていると、男性が頼んだ料理に女性がフォークを立て、「それ、ちょっと頂戴」と食べました。あるいは、足元に目を移すと、トントンって相手の足を軽く蹴っています。

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