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弘兼憲史「スーパーのレジ待ち」すら楽しむ境地 「おもしろきこともなき世」も心持ちで変わる

東洋経済オンライン / 2025年1月29日 13時0分

すると、ああ、この二人はできてるね! と確信します。そんな、本当にどうでもいいことを考えたりしているのです。

電車に乗ったとき、前の席に30代と思われるお母さんと、幼稚園生くらいの息子が座っている。でも、なぜか二人ともしょんぼりしているように見えます。そんなとき、どうしたんだろう? 何かあったのかな? なんて思ったりしませんか?

別れた夫、その子のお父さんに会いに行ったんだけど、会えなかったのかもしれない。どうして会えなかったんだろう……。と、空想がどんどん膨らんでいきます。

僕はだいたい、街中で見かけた人と人、二人でも三人でもそれ以上でも、この人たちはいったい、どういう関係なのだろう?  なぜここにいるんだろう?  ということを、なんとなくいつも想像しています。

そんな想像が、漫画一本のプロットになることもありますから、人間観察は僕の場合、"趣味と実益を兼ねている"といえるのかもしれません。

スーパーのレジ待ちで「レース」を実況してみる

日常での楽しみ方は、ほかにもいろいろあります。

たとえば、スーパー。僕はよく、スーパーに買い物に出かけます。買い物自体の楽しみ方も後で記しますが、ここではレジの話をしましょう。

時間によって、レジに行列ができていることがあります。5つもレジがあるのに、各列に10人以上が並んでいて、かなりの時間がかかりそうです。

最近はポイントカードの提示やQRコード決済などに手間取ることもあって、以前より時間がかかっているようにも思えます。

そんなとき、どうするか。僕の場合、どの列に並べば一番早いか?  という好奇心が働くわけです。

まず、レジを担当している店員さんの手際のよさ(スピード)をチェック。次に、各列に並んでいるお客さんたちが持っているカゴの中身をパッと見て、平均的な買い物量を観察して、どの列が一番早いかを"連勝単式"で予測して、その経過と結果を楽しんでいるのです。

レジが5つだったら右側から1枠、2枠、3枠…… として、「3-2」と予測すれば3番目のレジに並び、他の列に並ぶ同じ位置の人をチェックして、そのお客さんたちとの"レース"を始めます。

最初の二人までは予想通り3枠がリードしていたのに、三人目のお客さんのスマホがなかなか反応せず、2枠に追い越されてしまう。

しかし、あと二人となったところで、2枠のお客さんがビール券を出すと、店員さんが精算方法を聞くためにレジを止めてサービスカウンターへ駆け込む。

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