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電車が止まる可能性も?実は深刻な「2038年問題」 社会インフラや家電など広範囲で影響大の恐れ

東洋経済オンライン / 2025年1月30日 8時0分

(画像:adigosts / PIXTA)

「2038年問題」をご存じだろうか。日本時間の2038年1月19日12時14分7秒(協定世界時では2038年1月19日3時14分7秒)をすぎると、コンピュータが誤作動を起こす可能性があるとされる問題だ。大騒ぎになりつつもほぼ混乱がなかった「2000年問題」と同じく、大したトラブルは起きないだろうという見方もあるが、サイバーセキュリティの第一人者である立命館大学教授の上原哲太郎氏は「社会インフラや家電など、広範囲で大きな影響を及ぼすおそれがある」と警告する。その根拠や対策を聞いた。

「2000年問題」よりも影響が大きい理由

――「2038年問題」とは何でしょうか。

「2038年問題がどこまで大きな影響を及ぼすかはわからないが、何かが起きることは間違いない」と語る、立命館大学情報理工学部セキュリティ・ネットワークコース教授の上原哲太郎氏

2038年1月19日になると、32ビットのコンピュータやコンピュータプログラムの時刻が、1901年12月13日に化けてしまう問題です。コンピュータの内部で日付・時刻を表現する主な方法に「UNIX時間」という単位があります。ここで表現できる時刻が、日本時間2038年1月19日12時14分7秒に最大値を迎えてしまうのです。

そもそもUNIX時間は、1970年1月1日0時0分0秒からの経過秒数で時刻を表しています。これが2038年1月19日12時14分7秒になると、日付・時刻を示す値が2進数の32桁目に突入してしまうのです。しかし、32桁目は符号を示す位であるため、1970年1月1日0時0分0秒から「マイナス2の31乗秒(約21億秒)」、つまり1901年12月13日20時45分52秒として認識されてしまうのです。

厄介なのは、「UNIX時間」が組み込み系システムや制御系システムに使われるプログラム(C言語)に広く採用されていることです。表面のアプリケーションだけでなく、ミドルウェア、OS、CPUなど内部のシステムに入り込んでいる可能性もあるため、2038年問題のリスクを検証しようにもかなり手間がかかると見ています。

――コンピュータの時間問題というと「2000年問題」が思い浮かびます。世界中で大騒ぎとなり、日本でもさまざまな対策が行われましたが、結果的にあまり混乱は起きませんでした。「2038年問題」はどう違うのでしょうか。

2000年問題では、日付を扱うシステムが対象でした。そのため、影響を受けたのは「日付表示」だけだったとも言えます。ところが2038年問題は、「時間の経過」を表現するプログラムに影響します。

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