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節約の達人が買い物に「行く場所・行かない場所」 一番つまらないのは「見栄を張る」ことだ

東洋経済オンライン / 2025年1月30日 9時30分

仮に伊勢丹でも三越でもどこでもいいので、足を運んでみると、いまはもう昔のようにデパートの独自ブランドなどはあまり見当たらず、ただ世界の有名ブランドのショップが、冷厳に並んでいるばかり。客なんかほとんど入っていない状態で、売り子嬢たちが手持ちぶさたに客を待っている、そんな様相で、私は「ああ、こりゃもうだめだな」と思わずにはいられませんでした。

ユニクロのようなグローバルなブランドショップは、独自の店をあちらこちらに展開しているし、結局デパートは大型家電量販店などと連合したりして露命を繋いでいるというところでしょうか。地方都市には、昔はその町独特のローカルなデパートがあったものでしたが、それも、ほとんど今はなくなってしまいました。

つまるところ、デパートのように「1つの建物の中に何でもありますよ」というビジネスモデルがもう破綻している。

いっぽう、高級デパートに入っているヨーロッパの一流ブランドのどの店舗にも人はろくに入っていない。そのブランドの商品が買いたいのなら、何もデパートでなく本拠であるブランドショップへ行けばいい。となると、かれこれデパートは立つ瀬がないわけです。それにブランド物は高くて買えません。

高級食品よりも料理の腕前のほうが大事

デパ地下がいいと言っても、「このサラダを100gください」「こちらの唐揚げを100gで」と買っているとたちどころに5000円くらいになります。それでもよいという裕福なる人はかまわないかもしれませんが、つきつめると、デパ地下での食品買い、それはお金の無駄遣いではないかと私は指摘したいのです。たとえば、銀座あたりのデパートの食品売り場には、100g 3000円もするような高級牛肉を売っていたりしますが、それを買うのはごく一握りの人。

我々庶民は「きっとこれを煮て食べたらうまいだろうな」と想像して心の中で垂涎の思いを味わうだけです。堅実なる生活者を以て任じている私は、そうした高級食品を買うことはしません。それよりも料理の腕前のほうが大切な要素です。そもそも大霜降りの和牛肉やら、大トロの鮪なんか、私はちょっとも食べたいと思いません。ああ、あんなに脂肪が差し入っていてはなあ……と、途方に暮れるような思いで見ているばかり。

さらにまた、郊外の自宅から銀座のデパートまで行くにはずいぶんな電車賃もかかります。車で行けばガソリン代も駐車代もかかる。「駐車代は買い物をすれば2時間までタダになります」と言うけれど、「5000円買えば無料」というような仕掛けですから、どっちみち何千円ものお金を浪費することになるわけですね。

私はそんな思いをして、銀座のデパートで高級な食材を買おうとは金輪際思いません。

ほどほどのお肉を、近所の店で買って、せいぜい丁寧に美味しく調理して食べることのほうが、ずっと「よい生活」だと思っているからです。

林 望:作家・書誌学者

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