厳しいヤマトが昨年末に繰り出した「攻めの一手」 宅急便だけでは成長に限界、3PL有力会社を買収
東洋経済オンライン / 2025年1月30日 7時55分
ヤマトの多くのセンターは19時に営業を終え、21時半までに全国に向けた発送作業を行う。つまり、販売が好調で20時まで生産を行うような顧客の荷物は宅急便に間に合わない。「開店時間の10時までに20店舗に届けてほしい」といった店舗への配送も手がけてこなかった。
倉庫を活用したビジネスも展開してきたが、顧客のために大型センターを構え、独自にオペレーションを構築するといった経験は少なかった。
アマゾンの仕事も請け負う有力企業
ヤマトがそうしたノウハウを求めたのが、ナカノ商会だった。同社がアマゾンなどの大型物流センターの運営を担っていることは、業界ではよく知られている。ほかにも大手小売りや食品メーカーの仕事も手がける有力企業だ。
「ロジスティクス事業をやってきたが、顧客との関係や手法についてもまだまだ学ぶべき点があると思っていた。ナカノ商会とさまざまなシナジーが出せると思っている」(ヤマトの栗栖利蔵副社長)
ナカノ商会にとっても、ヤマトとのタッグには利点がある。ラストワンマイルの戦力だ。3PL業者でも宅配の戦力を抱える会社は少なく、そうした会社は荷主に高く評価され、仕事を獲得しやすいという背景があった。
ヤマトには、宅急便以外でも業績を拡大していく狙いもある。
3PLの場合、投資は明確に収入へとつながる。倉庫を広げて顧客を獲得すれば、保管や入出庫、倉庫内の作業、配送に関連した収益が増えていく。坪当たりの収益も見通しがつきやすい。宅急便のように、荷物量の変動で急激に利益を落とすことは少なく、比較的安定した収益が期待できる。
攻めの営業への転換も大きな狙いだ。例えば新潟県の場合、新潟市と長岡市にヤマトのベースがある。だが、企業が集まる需要地は金属製品や洋食器などで知られる燕三条だ。今後はこうした顧客に求められる地域に向けて拠点を構え、仕事を開拓する能力が求められる。
アマゾン出身役員を異動させた狙い
むろん、課題は多い。3PLの拠点を構えるうえでは、出荷の量や方法、出荷先の数、在庫の回転数などの情報から「顧客にはこんな施設が必要だ」と計算する必要がある。こればかりはノウハウが求められる。
そこで昨年10月、鹿妻氏をロジスティクス事業の担当に異動させた。鹿妻氏はかつてアマゾンジャパンで副社長を務め、いくつもの大型センターを手がけてきた。ナカノ商会についても、当然アマゾン時代からよく知っている。
3PLは群雄割拠の業界だ。投資ファンド・KKRの傘下で国際物流も手がけるロジスティード、相次ぐ買収で急成長中のセンコーグループホールディングス。プラント関連の仕事も手がける山九。メーカーの物流子会社を買収し成長したSBSホールディングスなど、ユニークな会社がそろっている。
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