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日銀の追加利上げで加速、勝者なき「預金争奪戦」 1年定期で金利1%の大台を突破する銀行が続出

東洋経済オンライン / 2025年1月30日 7時20分

預金流出を防ぐにはどこまで金利を引き上げるべきか、銀行は頭を抱える(編集部撮影)

日本銀行は1月24日、政策金利のさらなる引き上げに踏み切った。短期金利の代表的な指標である無担保コールレートは、従来の0.25%から0.5%程度に引き上げられる。2008年10月以来、16年ぶりの水準だ。

【図表】1年物の定期預金金利が高い主な銀行

すぐさま反応したのが預金金利だ。三菱UFJ、三井住友、みずほ、三井住友信託の各行は同日、0.1%だった普通預金金利を0.2%に引き上げると発表。大手行が先んじて金利を改定したのは、昨年3月のマイナス金利解除時や7月の追加利上げ時と同様だ。

預金獲得のため高金利を提示

0.2%という水準はセオリー通りだった。一般に、預金金利は政策金利の40%の水準で追随する。政策金利が0.5%になったことで預金金利をその4割に当たる0.2%に設定しており、ほかの銀行もこの水準に倣う見通しだ。

銀行にとって預金は収益の源泉だ。市場金利が上昇する中では、集めた預金を貸し出しや有価証券運用に回すほど利ザヤが取れる。反対に、預金が他行に流出すれば収益機会を逃し、大量の預金流出を招けば貸し出しや有価証券など運用サイドとのバランスが崩れて経営に支障を来しかねない。そのため各行は日銀の利上げに合わせて、預金金利の引き上げに動く。

だが、中には他行よりも高い金利を提示して預金獲得に動く銀行もある。あおぞら銀行は1月24日、ネット口座の普通預金金利を0.35%にすると発表。同行はこれまでも相場を上回る金利を設定しており、今回も0.15ポイント上乗せした。

今後は定期預金金利も改定される見通しで、こちらは普通預金よりも激しい競争が繰り広げられそうだ。

特に高金利が飛び交うのは満期1年物。「長期の定期預金よりも、短期間のみ預けるニーズのほうが強い」(ネット銀行幹部)ことから、3年物や5年物よりも金利が高い「逆転現象」が生じている。

auじぶん銀行やオリックス銀行は今回の利上げ前から1年物の定期預金金利を1%に設定しており、東京きらぼしフィナンシャルグループ(FG)傘下のUI銀行も利上げ当日の24日、1年物を1%に変更した。3月末までに新規で口座を開設した場合は、さらに0.1ポイント上乗せされる。1%の大台を突破する銀行はさらに増えそうだ。

強まる不採算リスク

これまでの金利競争は、実店舗を持たず顧客との接点が限られるネット銀行が仕掛け人だった。それが最近は地方銀行でも預金金利を大幅に引き上げる動きが目立つ。とりわけ全国から口座開設が可能なネット支店に限って、高い金利をつける地銀が相次いでいる。

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