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長野駅前殺傷事件で示された「リレー捜査」の威力 警視庁で確立したノウハウが地方警察に波及

東洋経済オンライン / 2025年1月30日 19時0分

昨今はリレー捜査が事件解決に大きな力を発揮している(写真:YAEZAKURA/PIXTA)

1月22日、長野駅前で男女3人が男に刃物で次々と刺されて1人が死亡し2人が重軽傷を負った事件で、警察は1月26日、長野市内に住む46歳の容疑者を逮捕した。

警察は今回の容疑者逮捕について、防犯カメラの「リレー捜査」がカギになったと説明している。

昨年12月に福岡県北九州市のファストフード店で中学生2人が殺傷された事件でも、リレー捜査が容疑者逮捕に大きく貢献したといわれている。

元産経新聞記者で、昨年『事件報道の裏側』を刊行した三枝玄太郎氏も、「昨今はこのリレー捜査が事件解決に大きな力を発揮している」と指摘する。

防犯カメラが捜査を変えた

1990年代後半のことだが、ある警察庁幹部が「近隣住民への無関心が地方にも広がり、目撃情報が得られないのが悩みだ。これに代わる何かがないだろうか」とこぼしていたのを覚えている。防犯カメラは、まさにこの幹部がこぼした悩みを解決する手段だといえる。

最近、事件担当記者と食事に行ったりすると、必ず話題になるのが「防犯カメラは捜査を変えたな」という話だ。ついでに「防犯カメラのせいで、事件が減ったな」という話にもなる。

私がかつて担当をしていた栃木県警の例で見てみよう。2022年の犯罪認知件数は8883件、検挙率は約42%だった。私がいた約20年前の2002年はおおむね4万件、検挙率は20%程度しかなかったから驚きの差だ。

当時は年8~10件くらい捜査本部が設置されていた。捜査本部は重要事件で容疑者の目星がつかないときに設置される。ほとんどが殺人事件だ。

栃木県の治安は私が担当していた2000年当時はかなり悪く、重要事件犯罪発生件数は全国でも上位だった。「人口当たりの凶悪事件数は大阪府に次いで2位」という記事があったのも覚えている。人口200万人程度の県にしてはやけに忙しいな、と思っていたものだ。

失業率と犯罪には相関関係があるという説があるので、日本の失業率をちょっと見てみよう。

2002年には5.4%で過去最高となり、その後漸減する。ところがリーマンショックなどもあり、2009年には再び5.1%へ上がり、2014年にやっと3%台に落ち着く。

栃木県では2003年ごろをピークに犯罪は減少傾向に転じたので、失業率と歩調を合わせた動きだ。ただし、リーマン後にも犯罪件数は増えていない。そしてちょうどこのころから、街の至る所で防犯カメラを見かけるようになる。

リレー捜査の威力

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