子どもたちの「知識」を「体験」につなげる "やってみる"ことで見えてくる新しい視点
東洋経済オンライン / 2025年1月31日 8時15分
窪田:子どもたちに向けた宇宙イベントは、どんな内容ですか?
井筒:宇宙を想像できるような話をしたり、ペットボトルロケットを作って飛ばしたりといったイベントを開催しています。なかでも人気なのは、「ギャラクティック・チャレンジ」と名付けた、過去の宇宙飛行士選抜試験に挑戦しようという企画です。
宇宙飛行士の試験は、知識を問うものよりは、臨機応変に発想できるか、ストレスも楽しめるかといったことを見るものが多くて。1998年に山崎直子さん、星出彰彦さん、古川聡さんが合格したときは、3時間で12×12=144ピースの真っ白なジグソーパズルにチャレンジする課題が出されました。
私のイベントでは、それを簡単にして4×6=24ピースでやってもらうなど、宇宙飛行士試験の雰囲気を味わえる体験を取り入れています。
窪田:知識がなくてもできるから、年齢に関係なく楽しめそうですね。
井筒:そうなんです。親子で対決したり、4歳のお子さんが1人でチャレンジしたり、楽しみ方もさまざまです。パズルのほかにも、鏡を見ながら図形をなぞる「鏡映描写」も人気です。「脳がバグる!」と言いながら、親子で大盛り上がりでした。
「これからは月や火星に人が移り住むようになりますよ」と話した後で、「じゃあ誰が宇宙飛行士に向いているかやってみよう!」と、試験を体験してもらう。宇宙ってどうしても遠い世界の話なので、こうしたイベントを通して少しでも身近に感じてもらえたらなと思っています。
宇宙でコーラは飲めるのか?
井筒:それに、宇宙について知ることで、より地球に生きていることを実感できると思うんです。例えば、イベントでは「宇宙でコーラは飲めるか?」とクイズを出します。宇宙では炭酸の小さな泡が一塊にくっつくので、缶を開けると大きくなった泡玉がドバッと吹き出してしまう。だから飲めない。
でも、過去にコカ・コーラ社が5000万円くらいかけて、特殊な宇宙用コーラ容器を作ったことがあるんです。それをスペースシャトルに持ち込み、宇宙飛行士がひっくり返りながらコーラを飲んでいる写真もあります。
窪田:壮大な実験ですね。
井筒:はい、でもNASAでは採用されなくて。というのも、炭酸を飲むとゲップが出ますが、宇宙では無重力なので胃袋の中で空気と食べ物が混ざり合い、気体だけを出すのは難しい。それに、そもそもスペースシャトルには宇宙飛行士の飲食用の冷蔵庫がないので、ぬるい炭酸しか飲めません。
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