ロシアの広い国土が「弱さ」の裏返しと言える根拠 西側と政治的に隔てられていても繋がっている
東洋経済オンライン / 2025年1月31日 18時0分
こうしてロシア人たちは現在のモスクワ辺りに落ち着いて、200年にわたってモンゴル帝国に服従することとなりました。しかし、ロシア人たちはこの支配体制の下で徐々に勢力を増していき、1480年には服従を正式に拒否。ようやくモンゴル帝国の支配を抜け出したのです。
モンゴル帝国の支配を破ったロシア人たちは、今度は東へ急速に領土を拡張していきました。元々ウラル山脈の東側には人が多く住んでいなかった上に、銃を得たロシア人とコサック(ロシア辺境地の戦士集団)は、先住民の抵抗に見舞われても比較的容易に制圧することができました。
こうしてロシアの領土は、1700年までにユーラシア大陸の東端に到達。すでにこの頃には、世界最大の面積を誇っていました。しかし、これほど広い領土を獲得してもロシアは依然として地理の呪いからは解放されませんでした。その原因は、西にありました。ロシアの西は依然として開放されていて、西の敵勢力から守ってくれる自然的障壁が何もなかったからです。
ロシアを今日まで悩ませてきた諸悪の根源は、北ヨーロッパ平野です。この平野はフランスのピレネー山脈からロシアのウラル山脈まで広がり、その内側にフランス、ベルギー、オランダ、ドイツ、デンマーク、ポーランド、リトアニア、ラトビア、エストニア、フィンランド、ベラルーシ、ウクライナ、モルドバ、ルーマニア、ブルガリア、カザフスタンと多数の国を含有する、非常に広い平野です。過去500年の間にロシアを本格的に脅かした敵勢力は、すべてこの北ヨーロッパ平野からやってきました。
1605年にはポーランド、1707年にはスウェーデン、1812年にはフランス、1914年と1941年にはドイツが、この平野から来襲してロシアを滅亡寸前まで追い詰めました。ここの敵を誘い込む力は凄まじく、1812年から1941年までの侵攻をすべて数えると、ロシアはこの平野だけで33年に1回の頻度で侵攻を受けたことになります(1853年のクリミア戦争を含めます)。
ロシアは弱いから広い
障害物が何もない平野で、敵の侵攻を防ぐにはどうすれば良いか。ここで、ここで、第8代ロシア皇帝エカチェリーナ二世の格言が参考になります。
国境を守る術はない。それを広げる以外には。
平野は攻撃が有利の地形です。ここで防御を有利にするには、少しでも外敵との距離を確保しなければなりません。そこで、ロシアは東方の征服が概ね完了した18世紀以降、西に目を向け、100年かけてウクライナからポーランド、バルト三国、フィンランドまでの一帯を征服、西の戦略縦深を深める大征服事業を敢行しました。
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