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ロシアの広い国土が「弱さ」の裏返しと言える根拠 西側と政治的に隔てられていても繋がっている

東洋経済オンライン / 2025年1月31日 18時0分

こうした一連の領土拡大は、決して無駄ではありませんでした。1812年にナポレオンのフランス軍がロシアに侵攻した際、ロシア軍は直接の戦闘を意図的に避けつつ後退し、フランス軍の補給線を延ばし切りました。その後、フランス軍がモスクワに到達したとき、ロシア軍はさらにウラル山脈の奥に後退しており、フランス軍はロシア軍の帰りを待っている間に厳しい寒さと食糧不足に苦しんで撤退を余儀なくされました。

1941年には、ドイツ軍がナポレオンと同じ罠にはまりました。ヒトラーは、「ナポレオンと同じ轍は踏むまい」と規格外の大軍団を動員して、冬が来る前にソ連との戦争に決着をつけるつもりでした。しかし、その望みは叶わず、延びすぎた補給線、冬将軍の影響を受け、背後に待ち構えるソ連軍に撃退されました。

2つの大戦争は、ロシア人の心に強烈な恐怖心を植え付けました。最終的には勝ったとはいえ、フランスとの戦いでモスクワが火の海に包まれ、ドイツとの戦いでは2660万人、当時の全人口の13.5%に匹敵する犠牲者を出しました。

地理的に繋がっているからこそ

ロシアの西の世界への神経質な態度の源泉には、この平坦で外国軍の侵入を容易に許してしまう地理的繫がりがあります。

これは、そもそも国境が存在しない日本との大きな違いです。日本では、全国どこの海岸に立とうと目の前に海以外のものはなく、その向こうに別の国があることを体感しにくいものです。

ロシアは違います。ロシアとその西の国々との国境には自然的障壁が存在せず、あっても川か、薄い柵だけです。立つ箇所によっては、かかとにロシア、つま先に別の国があります。ロシアと西の世界は政治的に隔てられていても、地理的には繫がっています。

というより、地理的に繫がっているからこそ政治的な隔たりを求める、といった方が正しいでしょう。ロシアは強いから広いのではなく、弱いから広くならざるを得ないのです。ロシアの広さは、ロシアが抱く大きな恐怖心そのものなのです。

社會部部長:YouTubeチャンネル「社會部部長」運営者

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