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中国新興EV「極越」、"設立3年で経営破綻"の真相 バイドゥと吉利集団の合弁メーカーに何が?

東洋経済オンライン / 2025年1月31日 7時40分

2024年12月に閉鎖された、浙江省杭州市にある極越汽車の販売店(写真:VCG / アフロ)

昨年末に発表された、ホンダと日産自動車の経営統合計画。背景にあるのが、自動車業界全体に通底する強烈な危機感だ。『週刊東洋経済』2月1日号の第1特集は「自動車 大再編時代」だ。国内メーカーの合従連衡の動きのほか、中国勢が攪乱する世界市場の最新動向など、自動車業界の最前線を追った。

「楽観的すぎた。資金調達は私の最も重要な仕事だったが、問題の深刻さを予見できなかった」

2024年12月16日未明、中国の新興EV(電気自動車)メーカー・極越汽車のCEOである夏一平は、同社の公式SNSに投稿した長文の中で、極越が経営破綻に至った理由をそう振り返った。

その約4年前の2021年1月、中国IT大手の百度(バイドゥ)は自動車市場参入を発表した。3月には同国自動車大手の吉利控股集団(ジーリー)と合弁会社「集度汽車」を設立し、バイドゥと吉利はそれぞれ55%、45%の株式を保有。2023年8月、集度汽車は極越汽車に改名された。

極越の歴代会長はバイドゥの上級幹部だった。夏一平はバイドゥによってCEOに指名され、バイドゥの創業者でCEOのロビン・リーと直接、連絡を取っていた。すべての関係者の間で一致しているのは、もしバイドゥが投資を続けていれば、極越は事業を継続できたということだ。

見捨てた中国のIT大手

中国市場でEVの価格競争が激化する中、極越は採算度外視の割引で損失が拡大。バイドゥと極越の複数の関係者から得た情報によると、極越の財政難は2024年上半期にはすでに発生していた。

極越の経営陣は夏一平に資金調達を積極化するよう促したが、バイドゥの経営陣は、「投資を継続する可能性は低い」と夏一平に対して念を押していた。

2024年9〜10月、銀行から極越への信用貸し付けが満期を迎えたものの、新たな資金が口座に入金される様子はなかった。そこで銀行は貸し付けを更新しないことを決定。極越のキャッシュフローは逼迫し、事業縮小と従業員の整理を開始、最終的に破綻した。

財新の調べでは、バイドゥから極越への累計出資額は約50億元(約1000億円)、吉利は約30億元だ。一方、極越の2023年の年間損失は約40億元に上った。2023年末、同社の取締役会は2024年予算を公表。年間損失は70億元と予想し、実際に損失は約70億元だった。

2024年12月11日、夏一平は突如、ビデオ会議で全社員に連絡し、会社の危機を告白した。「極越は困難に直面しており、早急な調整が必要だ」と語り、11月の社員の社会保険料を会社が支払っていないことも明らかにした。

傲慢だった経営手法

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