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大人が知らないゲーム『スプランキ』の複雑な背景 多くの熱狂と不幸を生み出したネットのトレンド

東洋経済オンライン / 2025年1月31日 18時50分

子供に人気でYouTubeで関連動画が続々と増えている『スプランキ』。背後には複雑な文脈がある(画像は『sprunki』よりキャプチャー)

2024年10月ごろから『スプランキ』(sprunki)という音楽作成ゲームが流行している……と書いたのはいいものの、まったく知らない人もいるだろう。それも当然である。

【写真】「スプランキ」はキャラクターを選ぶことで音楽を奏でるようになっていく

『スプランキ』は確かに流行っているのだが、それを受け入れているのは低年齢層の子供たちである。そして、インターネットはあまりにも広大で、さまざまな場所に複雑な文脈が発生しており、文化・生活圏の違う場所のすべてを知るのは不可能だろう。

しかし、あなたが最近ショッピングモールに行ったのであれば、きっと『スプランキ』を目にしたことがあるはずだ。ただ気づいていないだけで。

キャラクターを組み合わせて音楽を作るシンプルな遊び

『スプランキ』は端的に言えば、手軽に音楽を作れるゲームである。キャラクターを選ぶと、それぞれに対応したパートが再生されて曲になっていく。

例えばオレンジのキャラクターを選べばバスドラムのパートが再生され、ピンクであればコーラスを奏で、コンピューターならば合成音声で歌ってくれる。これらを自由に組み合わせて自分なりの曲を作ろう、というわけだ。

なお、『スプランキ』はゼロから作られたわけではなく、『Incredibox』という音楽ゲームのMOD(いわゆる改造データ)として制作されている。つまり『Incredibox』のシステムを使い、ビジュアルやサウンドを差し替えているのである。

『スプランキ』を制作したのは、タイ在住のNyankoBfLol氏。15歳の若さにして大ブームとなる作品を手掛けたわけで、かなりの功績といえよう。

ただ、「なぜこれが流行るのか?」と思う人がいるかもしれない。実際のところ、『スプランキ』は『Incredibox』のMODの1つに過ぎない。しかし、その裏には複雑な文脈があるのだ。

マスコットホラーとしての側面が一大ブームのカギ

確かに『スプランキ』は音楽作成ゲームなのだが、一方でホラーゲームとしての側面も持っている。

黒いキャラクターを選択すると雰囲気は一変し、キャラクターたちはゾンビのようになる。曲もおどろおどろしくなり、コンピューターは「They are ALL DEAD」などと歌い出すのだ。

これこそ『スプランキ』が流行した重要なポイントとなる。かわいらしいキャラクターが突如恐ろしい存在になるのだが、これは「マスコットホラー」の文脈といえる。

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