「トランプ2.0」でドル円相場はどこまで動くのか 日米金利差の縮小で2025年前半に円高局面も?
東洋経済オンライン / 2025年2月1日 8時0分
――以前から、サービス収支が為替に及ぼす影響についても注視されています。
これからの日本の為替を語るうえで、当然、貿易収支は大事だが、サービス収支も見るべきだと言い続けている。サービス収支には、「輸送収支」「旅行収支」「その他サービス収支」の3つにわけられる。ポジティブな材料は旅行収支で、いわゆるインバウンドだ。現時点では2024年の通年の実績は出ていないが、11月分までで5兆円を超えていて、すでに過去最大の黒字となっている。
旅行収支で5兆円の黒字を出せば、昔であればサービス収支全体も黒字になっていたはずだが、3兆円台の赤字。その理由は、デジタル赤字を含むその他サービス収支が大赤字だから。デジタル赤字だけでおそらく7兆円ぐらいの赤字。年平均13%ぐらいずつ拡大しているので、このままだと2025年には8兆円になる。
デジタル赤字が拡大したとしても、インバウンドが今の調子で増え、結果的にサービス収支が3兆円ぐらいで”横ばい”ならいい。だが、旅行収支の黒字は、どこかでピークアウトするのではないか。観光産業を支える宿泊・飲食業は、日本で人手不足が最も深刻な業界だ。いくらインバウンド需要が旺盛でも供給が厳しいという状況が、来年、再来年に来てもおかしくない。
一方で、プラットフォーマーへのデジタルサービスの支払いは減らない。これは原油価格の話に似ており、原油は経済活動に必要不可欠だけれど、価格の決定権は供給側が持っている。ただ、デジタル赤字を経済活動のコストだと考えると、大きくなってもかまわないという話にはならない。
サービス収支の赤字は3兆円程度だが、インバウンドが頭打ちになってデジタル赤字が拡大していけば、2030年ぐらいには10兆円を超えてもおかしくないだろう。そうした想定で、サービス収支の話を円売り要因として気にしたほうがいいと思っている。
決定会合のタイミングの為替相場が重要に
――ドル円相場が動いたのは、トランプ大統領の就任式の前の週で、日銀の利上げ観測が出たタイミングでした。
2025年の日銀の金融政策について、上半期中に0.75%まで利上げがあると考えており、最大でも1%。
ただ、日銀の政策運営を読むうえでは、このような話をしてもあまり意味がないともいえる。例えば、直近の金融政策決定会合で利上げしていたとしても、1ドル170円になっていたら次の会合でどうか。おそらくマーケットは利上げを催促しているだろう。結局、決定会合が近づいたときのドル円の水準を見る必要がある。
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