よみがえったアバクロ、「5年で利益10倍」の復活劇 「全米で最も嫌われたブランド」をどう抜け出した?
東洋経済オンライン / 2025年2月2日 7時0分
ところが2010年代に入ると、成長に陰りが見え始める。リーマンショック後、消費者の低価格志向が高まりファストファッションの攻勢を受けたことに加えて、容姿端麗な白人ばかりを店員や広告モデルに起用するような、排他的な戦略が敬遠されるようになった。
業績悪化を受け、2014年にジェフリーズ前CEOが退任。同氏は昨年、モデル志望の男性らに対する性的な人身売買に関与した疑いで、逮捕・起訴されている。
新体制でトップダウン経営から転換
「全米で最も嫌われる小売ブランド」――。アメリカの顧客満足度指数(2015年)において、そう認定されるまで落ちぶれたアバクロ。CEO不在の期間を経て2017年、新CEOに就いたのが、高級百貨店での商品政策に携わってきたホロヴィッツ氏だ。
ホロヴィッツCEOは赤字店舗の撤退を進めていった。就任直後に15年以上ぶりとなる新たな店舗モデルを発表。大型店の面積縮小を行う一方で、オンライン注文の受付・商品の店頭受け取りなど、ECと連携する機能の強化を推し進めた。
並行して、モバイルアプリや顧客会員制度の構築、ソーシャルメディアを活用した広告展開など、デジタル分野へ集中投資。数年をかけ、強烈なブランド戦略に基づくトップダウン型から、デジタル基盤をベースに顧客の購買傾向やニーズを吸い上げ、商品構成を練る組織運営への転換を図った。
マッチョな上裸の店員は姿を消し、商品カテゴリー、サイズ展開も見直した。多様な体型や用途に合わせたドレスライン、仕事着などを展開。年齢層も引き上げ、ミレ二アル世代をメインターゲットに据えた。
一方のホリスターは、新学期商戦をにらんで30以上の大学と提携し、限定コレクションを販売するなど、アバクロと差別化したマーケティングで10代顧客を取り込んでいる。
2020年にはコロナ禍が襲った。アバクロも店舗閉鎖や外出自粛の余波を受けたが、店舗の撤退・縮小やECへの移行を進めていたことが奏功し、競合他社よりも打撃を受けずに乗り切った。オンラインの販売比率は2017年度の28%からコロナを経て一段と成長し、現在は約5割に達している。
一連の改革で大きく改善したのが販管費だ。直営サイトやアプリでの販売は、販売員の人件費や賃料がかからないため、利益率が相対的に高まる傾向にある。売上高に占める店舗流通費(マーケティング費用や一般管理費を除いたコスト)の比率は、2010年代は45%前後だったのに対し、2023年度は36%に低減している。
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